フィットネススタジオを運営。女性の健康美やスポーツの楽しさを提案

WOMAN’S CAREER Vol.93

株式会社デサント 古屋佐知さん

【活躍する女性社員】フィットネススタジオの運営という新規事業を立ち上げた古屋さん


■仕事・プライベートを問わず、スポーツの楽しさを伝える活動を続けたい

自社ブランド「デサント」をはじめ、世界各国のスポーツウェアメーカーと提携して「ルコックスポルティフ」「アリーナ」「アンブロ」など約20ブランドのウェアやシューズ、各種スポーツ用品を製造・販売しているデサント。古屋さんは入社以来、営業や中期経営計画の策定、新規事業立案、フィットネススタジオの立ち上げ・運営、ネットショップの運営など多様な業務に携わってきた。

入社当初配属されたのは営業部門。ゴルフウェアブランド「マンシングウェア」の担当として関東・甲信地方の百貨店内の店舗の損益管理や予算達成に向けた商品の展開計画立案、店頭での販売促進、販売員の運営指導などにあたったが、販売員との関係構築には苦労したという。
「新米の私が自分の親世代ほどの販売員に対して予算達成に向けて叱咤(しった)しなければいけないことが難しかったです。言うべきことは言わなければなりませんが、反感を買うような言い方をしてしまうなど、販売員のモチベーションを高めるすべを十分に持ち合わせていませんでした。それでも予算を達成しなければならないので、ほかの営業担当なら月に2〜3回訪問するところを私は週に1〜2回は通うように。そのことでこれまで出てこなかったような話もしてもらえるようになり、3年目を終わるころには結果もついてくるようになりました」

「視野が狭く、相手の立場に立って物事を考えられなかった」と当時を振り返る古屋さん。大きな成長の機会となったのが、5年目から在籍したコーポレート企画室での3年間だった。会社のさらなる成長・変革を目指した中期3カ年計画の策定や各ブランドの戦略・方針の見直し(リブランディング)、新規事業の立ち上げなどに携わった。
「各ブランド・部署の責任者など会社全体を考えて仕事をする人たちに囲まれて働いたことで、同じ会社でもブランドによってまったく異なるターゲットを見てモノづくりをしていることや責任者の立場にある人たちの考えを知ることができ、視野が格段に広がったと思います。また、会社やブランドは自分たちで変えられることも実感しました。企業で働いていると、何かネガティブなことがあれば『会社が悪い』と考えがちですが、『会社』というのは漠然とした存在であって、人なり組織なりに必ず原因があるもの。不満を持つ暇があるならどうすれば良くなるのか考え、改善に向けて行動するようになりました」

一方で課題に感じたのは、自社の強みをほかの市場・分野に生かす際に必要な体系的な知識と外部人脈の不足。これらを得るために大学院への進学を決意した古屋さんは、7年目に慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修を受験。腕試しのつもりが一発合格し、当時社内になかった大学院進学のための休職制度(※)を整えてもらって進学した。そこでスポーツが健康維持に与える影響などについて学び、仕事で実現したいことが変化したという。
「入社当初はスポーツウェア・シューズの機能性を普段着に取り入れ、スポーツをしない人々にもその快適さを広めたいと考えていましたが、それ以上に、スポーツ人口を増やすことが大事だと思うようになりました。総人口の減少が将来的に予測されている以上、スポーツ人口も減り、アパレル市場も小さくなるはず。1人当たりの購入額を上げるよりも購入者の母数を増やすことが大事だと思ったのです」
※「キャリアアップ休職」として、語学力向上を目的とした海外の各種学校への留学、または健康・スポーツ関連、経営学などを学ぶために国内外の大学院などへの進学時に休職できる制度。勤続満3年以上かつ満35歳以下の社員が最長2年間、在学期間中のみ取得できる。

そんな折、大学院2年目に大学院での勉強と並行して任されたのが、女性専用フィットネススタジオ「目白椿の坂スタジオ」の立ち上げだった。新規事業として経営陣の承認もスタジオの場所も取得済みの案件。古屋さんに託されたのは、半年後のオープンに向けたソフト面の整備だった。
「収支計画や料金体系、インストラクター・会員との契約内容の策定から、スタジオの内装決め、インストラクターの採用、メンバーズカードの仕組みやデザイン決めなど、社内に一切のノウハウがない中、一つひとつ調べ、社内でわかりそうな人に聞きながら進めました。ほぼすべてに苦労したと言っても過言ではありません(笑)。ただ、そこでコーポレート企画室時代にさまざまな部署の責任者の方と話していたことが生き、誰に何を相談すれば動いてもらったり、適切なアドバイスをもらえるのかわかっていたのはよかったです」

古屋さんの頑張りにより、半年後に無事にスタジオがオープン。当初古屋さんが設定した「お客さまが満足できる質の高いサービスの提供を最優先する」という方向性のとおり、運営側も会員も満足する運営ができているという。大学院修了後、古屋さんはスタジオとネットショップの運営を兼務したのち、現在はスタジオ運営とアリーナ原宿店の営業を担当。スタジオの運営には立ち上げ以来6年にわたって携わっているが、やりたいことは尽きないという。
「会員の方が上達される様子や『お友達ができて楽しい』『肩こりが改善して、気持ちも前向きになった』などの声を見聞きすると私も元気をもらえますし、もっと喜んでいただけるスタジオにするためには何をしよう?と考え、飽きることはありません。今後は、本当の女性の美を提案できるようなレッスンを考えていきたいですね。やせてさえいればいいのではなく、適切な場所に筋肉が付き、適度なくびれがある体が本来の美しい体ですし、筋肉と柔軟性のある体はけがをしにくく、健康維持にもつながります。そんな美しい体づくりを提案し、実現できるレッスンを開発していきたいと思います」