消費増税に備える! 柳澤美由紀の”生活防衛術” (10) 『家計BS(バランスシート)』を作って、”戦略的”に生活を見直す

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家計管理といえば、「家計簿」をつければよいと考えがち。

でも、クレジットカードの利用や株式や投資信託への投資、住宅ローンや教育ローンを組む場合、現金収支を基本としている単式簿記の家計簿で実態をつかむのは難しいのが現状です。

こんなときに役に立つのが、複式簿記を活用した「バランスシート(BS、貸借対照表)」と「損益計算書」(PL)。

本来は企業の財政状況やその年の経営成績を明らかにするためのツールですが、家計に応用して使うと、大きな買い物をするときや借り入れをするとき、投資体力を測るときなどに役に立ちます。

バランスシートと損益計算書は、企業が作成を義務付けられている財務諸表の1つです。

期末時点の資産・負債・資本の額はどうなっているのか(バランスシート)、1年間でどれだけ儲けたか、損したか(損益計算書)を把握し、株主や融資先などの利害関係者に報告するために作成する報告書なのです。

2つの財務諸表を照らし合わせることで、経営効率や支払能力などを確認することができるようになっています。

<図表1>をご覧ください。

家計向きにアレンジしたバランスシート(家計バランスシート)は左側に資産(1〜4)、右側に負債(5〜7)を書き込み、資産から負債を差し引いたのが「正味財産」となります。

目指すは正味資産のプラスです。

正味資産はあなたが持つすべての資産・負債を清算した時に残るもの。

これがマイナスであればあるほど、アクシデントに弱い家計を意味します。

地震などの自然災害が起きた時、会社の業績不振などで手取り収入が減ったり、リストラにあったりした時、不況で株式投資で時価が大幅に目減りした時etc…、私たちの周りには自分の力ではコントロールできない出来事があります。

そんなときに心の平静を保ちながら、好機が巡ってくるまで暮らしていけるかどうか。

それを図る指標の1つとして、家計バランスシートはあります。

<家計バランスシートの費目>(1)現金…手持ちの現金(2)金融資産…預金、有価証券、保険の解約返戻金などの時価(3)不動産…土地、建物の時価(4)その他資産…車、絵画、骨董品、ピアノ、宝飾品、敷金、会員権などの時価(5)クレジットカード…未払い残高(6)住宅ローン…未払い残高(元本)(7)その他ローン…無担保ローン、マイカーローン、教育ローン等の未払い残高作成のコツは細かいことを気にしないこと。

時価はざっくりとした金額で構いません。

それよりも表を早く仕上げることに力を注ぐことが重要です。

これらが役に立つのは、家や車の購入のためにローンを組んだり、投資額を増やすなどの決断をする時に、「本当にこれをやって問題ない?」を調べるためのものです。

表を作ることが目的ではなく、適切な判断ができる材料づくりとして取り組んでください。

マイホームを建てる、車を買う、株や投資信託に投資するなどの場合、単なる支出ではなく、購入したものは資産となります。

家計バランスシート上では金融資産などが他の資産に変化した扱いになります。

支出にはならないので、家計の損益計算書の「生活費」には計上しません。

また、ローンを組んで購入した場合、借入金の元金部分はバランスシート上の「負債」に、利息部分に関してのみ家計の損益計算書上の「生活費」に計上します。

ちなみに、クレジットカードの場合は先に消費が行われ、お金の支払いは後になります。

購入代金がどこに計上されるかは買ったものが資産かどうかによって違います。

口座引き落とし前の元金は家計バランスシート上の(5)に記載してください。

リボ払いを利用している場合は未払い残金を書き込みます。

あといくら残っているかがわからないときは、カード会社に電話をすれば教えてもらえます。

同様に、家計の損益計算書もざっくりと算出します(<図表2>)。

1年間の「(8)収入」から「(9)税金・社会保険料」と「(10)生活費」を差し引き、「年間消費損益」を算出すればOKです。

投資に向かない家計とは正味財産がマイナスの家計です。

借金がなければ生活できない状態というわけですから、まずはそれを改善した上で投資にチャレンジすること。

マイナスではないが、プラスの額が少ない場合も同様です。

資産の内訳にもよりますが、不動産などの換金に時間がかかる資産が大半を占めている場合は生活防衛資金(不測の事態に備えた預貯金)として生活費の1〜2年分を用意するか、時価変動の影響の少ない積立投資から始めましょう。

年間消費損益がマイナスになった場合、その理由がなんであるかが重要です。

車の買い替えやリフォーム費用など、大きな買い物を行った年のマイナスでそれがなければプラスになるというのであればよいのですが、普通に暮らしている状態でマイナスというのは早急に改善する必要があります。

お金の使い方(予算配分や管理方法)を見直したり、収入を増やす工夫をすることが大切です。