具体的には、子供と接する時間をどれだけ長くとれるか、親の心と体の健康状態、祖父母等の監護補助者の存在、子供に大きな環境の変化(転校等)を及ぼすか、子の年齢、両親の経済力等々、あらゆる事情から総合的に判断されます。

本件では、子の年齢以外は不明ですが、5歳という年齢からすると、通常では母親が親権者になる事例が多いと言えましょう。

最後に、離婚する際に妻が使い込んだお金を返してもらえるか、という点ですが、これは、離婚に伴う財産分与の問題として捉えることができます。

財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚するにあたって分ける(清算)するものです。

この場合、分与の対象となるのは、離婚時(別居している場合は別居時。

裁判をしている場合は口頭弁論終結時)に存在する財産なので、本件では、婚姻中に妻がお金を使ってしまっており(使い込んだとされる財産は離婚時にはないので)、これを離婚時に取り戻すということはできません。

そこで、財産分与をする際の割合の問題として考えるのが最も適当かと思います。

財産分与の割合は、妻が専業主婦の場合でも、半々とする(2分の1ルール)のが最近の傾向ですが、夫が稼いだお金を妻が収入に見合わない高価なブランド品を買いまくって、また豪遊などして費消してしまった場合にも、離婚時の財産の分け方を2分の1ずつにすることには誰でも不公平感がありましょう。

妻のお金の使い道を立証できることが前提ですが、夫婦の財産を築く上で、その寄与度に違いがあるときは、財産分与の割合が違ってきても当然といえましょう。

結論として、妻の預金の使い込み分については、前提として立証という高いハードルはありますが、立証できた場合には、財産分与の際の分与割合に反映される(当然、妻への分与割合が低くなる)と考えてよいでしょう。

イラスト: 野出木彩