『バイオハザードV:リトリビューション』のポール・W・S・アンダーソン監督

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人気サバイバルアクションホラー映画第5弾『バイオハザードV:リトリビューション』(9月14日公開)を手がけた ポール・W・S・アンダーソン監督を直撃! 映画初公開から10周年を迎えた『バイオハザード』全シリーズに携わってきたアンダーソン監督に、愛妻で主演女優のミラ・ジョヴォヴィッチとの密な絆から、製作の苦労話までを聞いた。

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アンダーソン監督は1作目、4作目、5作目を監督し、2作目、3作目でも製作と脚本を手がけてきたが、「理想を言えば、全ての『バイオハザード』シリーズを自分で監督したかった」と振り返る。「スケジュール上、それが叶わなくて、IIとIIIは違う監督に任せたものの、すごくフラストレーションが溜まってね(苦笑)。その後は、他の作品の話をもらっても、『バイオハザード』の新作の方を優先させようと心に誓ったんだ」。

『バイオハザード』の映画は、今年で10週年の節目を迎えたが、監督は当初、ここまでシリーズが続くとは思ってもみなかったという。「もちろん、夢には描いていたけど、予測はしていなかった。でも、それはただ運が良かったというわけではない。毎回、どのキャラクターを出すかといった、すごく綿密な計画を立ててきたし、スケール感をアップさせるために、製作費をより多くもらえるようバトルしてきたんだ。やるからには、進化し続けなければいけないから。そのおかげで、今回はシリーズ史上、最高の大作を撮ることができたよ」。

ミラとは、公私共々タッグを組んできたが、私生活でもパートナーであるゆえの難しさはないのだろうか?と尋ねると、「もちろんあるよ」と笑顔で答えてくれた。「たとえば、一日撮影を終えて、普通なら家に帰って、『今日、あの主演女優がさあ』と、愚痴をこぼすものだけど、それができない。だって、その女優がミラ本人なんだから(苦笑)。逆の立場で考えても、ミラが家で監督への文句は言えないわけで。でも、その悩みはずっと一緒にいられることのメリットに比べれば大したことじゃないんだ」。

監督は続けて、ミラへの思いをこう語った。「映画業界で、恋愛、夫婦、家族関係がぎくしゃくするのは、ほとんどが遠距離に置かれ、すれ違いが起こるからだ。それを考えると、四六時中、一緒にいる方が離れて長くいるよりも、遥かに精神衛生上は健康的だと思う。僕の場合は、自分の大好きな仕事を、大好きな人と一緒にやれているわけだから、重荷には感じていないし、むしろラッキーだと思っているよ」。

今、目の前でミラについて話す監督の充実感あふれる表情が、全てを物語っている。「僕は、映画監督という仕事の95%は、話すことだと思っている。相手に自分の思いを伝え、理解してもらうこと。時には300人、400人のスタッフを相手に話すことだってある。現場で何かもやもやしたものが残った時、家に帰って、家族に仕事の文句を言う人もいるだろう。でも、僕はそういうものを家に持ち帰りたくないんだ。だから、常日頃、妻に限らず、他の俳優やスタッフ、どんな人ともとことん誠実に話し合うようにしている。より良い仕事が、より良い家庭関係をもたらすとも思っている」。

そのことを、誰よりも教えてくれたのがミラだという監督。「僕は英国人で、国民性からいくと、自分の思いを抑圧してしまうタイプ。ずっと自分を抑えて仕事をしていると、30年後に急に心臓発作で亡くなってしまったりするわけで(笑)。でも、ミラと付き合うようになって、自分の持っているものを表現することが一番大事だってことを学んだよ」。

まさに、ベストパートナーであるアンダーソン監督とミラ。『バイオハザード』シリーズは、このふたりのコンビで作ってきたからこそ、面白さ、迫力、興行収入など、全てにおいて右肩上がりのエンターテインメントとなりえたのかもしれない。『バイオハザードV:リトリビューション』もいよいよ公開となるので、ボルテージを上げて、いざ劇場へ!!【取材・文/山崎伸子】