ガラス編

業界トレンドNEWS Vol.144

ガラス編

大規模な設備投資の必要な業界。競争激化の中各社の事業戦略は?


■新興国中心に需要増だが、価格競争も激化。国際的な提携と高付加価値ガラスの開発が進む

ガラスの用途として大きな割合を占めるのは、ビルや住宅、自動車などに用いられる「板ガラス」と、液晶テレビなどで利用される「ディスプレイ用ガラス」だ。最近では、普通の板ガラスより透明度が高く、反射もしにくい「太陽光発電パネル用ガラス」の需要も伸びている。また、デジタルカメラや医療器具などに使われる光学レンズ用ガラス、食器や装飾品など工芸品向けのガラスにも一定のニーズがある。

国内メーカーとしては、幅広い種類のガラスを手がける旭硝子(2011年度売上高1兆2146億円)、建築・自動車用ガラスに強い日本板硝子(5522億円)、カメラやメガネなど光学ガラスの分野で存在感を誇るHOYA(3606億円)、ディスプレイ用ガラスが主力の日本電気硝子(3382億円)、建築用・自動車用ガラスがメインのセントラル硝子(1674億円)が上位を占める。リーマン・ショック後の不況により、2009年度における上位5社の総売上高は大きく減少した。10年にはかなり持ち直したものの、11年は再びマイナス成長となった。原因としては、東日本大震災やタイの洪水による自動車生産の落ち込みなどが挙げられる。

BRICsやASEANなど新興国の経済成長に伴い、建築用ガラスや自動車用ガラスの需要は今後高まると見込まれている。ただし、中国をはじめとした新興国の成長が鈍化しているという分析もあり、楽観視はできない。一方、薄型テレビやスマートフォン、タブレット端末の普及により、ディスプレイ用ガラスのニーズは急拡大。しかし、薄型テレビを筆頭に完成品の価格競争が激しく、ガラスの価格にも値下げ圧力が高まっている状況だ。また、太陽光発電パネル用ガラスも需要が伸びているが、こちらも価格競争が激化している。業界志望者は、各需要先の動向や需給バランスに関するニュースも、ぜひチェックしておきたい。

ガラス業界では、「協調と競争」の考え方に基づき、ある分野で競合関係にある企業同士が他分野では協力するケースも珍しくない。ガラスは一般的に、大量生産することで価格競争力が増す「規模の経済」の原則が働きやすい商材であることから、生産効率を高めるために大規模な設備投資が必要となる。一方で、投資額が増えれば増えるほど、需要が減ったときに投資を回収できなくなる危険性が大きくなるという問題が存在する。そこで、異なる企業同士で投資を分担しあって設備を共有することで、大規模な設備投資をしながらも、危険性を軽減する工夫が図られることがある。また、近年の建築需要は先進国だけでなく新興国でも旺盛なので、ニーズは国際的に分散している。グローバルな市場展開を素早く進めるために、自社が今まで拠点を持っていなかった地域では、パートナーと提携することが重要になっている。

単純な価格競争に陥らないために、高機能ガラスの開発も不可欠だろう。各社は、遮熱性が高くて室内の冷気・暖気を逃がさない「エコガラス」、割れづらくて防犯対策になる窓ガラス、UVカットガラスや雨粒をはじく自動車用ガラス、耐久性や防音性に優れたガラスなどを開発し、競合との差別化を図っている。