大手ハウスメーカーの住友林業が東京、大阪などで計3524件に及ぶ建築基準法違反に手を染めていたことが発覚した。部屋と部屋を仕切る壁を作る際に、下地として柱の間に必要な「胴縁」を張らずに柱に直接張ったとか、石膏ボードを張るためのビスが基準より短かかったなどのケースで、要するに悪質な手抜き工事。準耐火性能を持つ本来の工法とは明らかに異なっており、国土交通省は各自治体に対して詳しい調査を命じたという。

 ところが、この指摘に対し住友林業は「試験機関で準耐火性能があることを確認した。今後、認定を申請する予定」と開き直ったから大騒ぎに。いまや世論の集中砲火を浴びているのだ。
 「手抜きを認めて大掛かりな改修工事に着手すれば、それだけで膨大な金額に膨らむ。一説では200億円にも上るとされていますが、先に発表した今年4〜6月期は38億円の経常赤字だった。厳しい業績を考えたら改修工事なんてトンデもない。開き直るしかないのでしょう」(大手証券マン)

 各自治体の調査によっては違反件数がさらに膨らむ可能性がある。そうなれば、同社への風当たりは一気に強まる。ライバル社OBは冷ややかだ。
 「大手は下請けメーカーを手足として使い、いかに利益を吸い上げるかに汲々としている。たとえば売却価格から300万円値引きするといっても、値引き分は最初からゲタを履かせており“誠意”といっても見掛けだけのこと。第一、国土交通省が槍玉に挙げた今回の“不適切施工”にしても、一般のユーザーには見抜けない。逆に言えばユーザーの目に触れない部分では、どこに落とし穴が潜んでいるかわからないのです」

 どうやら、かつて深刻な社会問題となった耐震偽装事件と共通する話のようだ。