■決勝進出を賭けて日本は米国と戦った。結果、日本は5−10で敗退したが、米国選手たちのラフプレーがやたらと目立つ試合だった。

日本  002 102 000 = 5
米国  000 211 2X =10

試合終了後、小倉全由監督(日大三高)は憤懣やるかたないといった表情で語った。
「ちょっとあのプレーはないな。選手たちがケガしないか心配だった。最後は選手たちが捕手がケガをしないように、誰もバックホームしなかった。選手たちはよくやったと思います」


■小倉監督が問題視したプレーは、スコア5−4で日本が1点リードして迎えた7回裏に起きた。

この回から3連投の藤浪晋太郎(大阪桐蔭高3年)が登板した。先頭打者・マクガイアの詰まった打球はショート・北條史也(光星学院高3年)へ。だが北條は打球をファンブルし、マクガイアの出塁を許す。(無死一塁)

続くオーケイもショートゴロ。だがまたしても北條がエラー、一塁へ悪送球した。ここで一塁走者のマクガイアは三塁へ突進する。しかし田村龍弘三塁手(光星学院高3年)はベースから離れて立っていたにも関わらず、マクガイヤは田村を目がけて体当たりし、田村を突き飛ばした。執拗に塁審に走塁妨害を主張する米国チーム。だがマクガイアが三塁に達する直前、すでに球は二塁手に戻っていたのだから、そもそも本塁生還は無理だった。なのになぜ体当たりする必要があったのか? まったく解せない。意図的に体当たりしたとしか思えないプレーだった。(無死二・三塁)

次打者・アブレイは一塁ゴロ。金子凌也一塁手(日大三高3年)はバックホームを試みる。タイミングは完全にアウトだっが、三塁走者・マクガイヤは森友哉捕手(大阪桐蔭高2年)を目がけて猛然とタックル。さらに両腕を森の顔面に直撃させたものだから、森はその場に倒れこんだまま動けなくなった。完全なラフプレーである。約5分間の治療後、痛みをこらえて森はポジションに戻ったが、右目の上は赤く腫れ上がっていた。(一死一・三塁)

そしてビッジオの適時打で同点に追いつかれ(一死一・二塁)、その後、アローヨが右前安打を放つと、またラフプレーが出た。二塁走者のアブレイは、マクガイアと同様、森捕手を目がけてまたしても猛然と体当たりする。ライト・笹川晃平(浦和学院高3年)の好返球はいったん森のミットに収まったものの、弾き飛ばされてついに日本は逆転を許してしまった。再び倒れこんだ森。一方、生還したアブレイは狂ったように小躍りしながらダグアウトへ。奇声を発してアブレイを迎える米国選手たち。狂っている、狂いすぎている・・・。


■その後、三塁に走者がいる時は、たとえ内野ゴロがあっても、内野手はだれも本塁には送球しなかったたため、点差がどんどん広がってしまった。その理由は簡単。本塁に送球することで、さらに捕手が負傷することを避けたかったから。

米国は自他ともに認める野球大国のはず。だが今日の彼らのプレーはそもそも野球ではない。勝つためには手段を選ばないといった表現さえ当てはまらない。それ以下である。日本選手の身体を痛めつける手段として、たまたま野球をやっている・・・、そう思えるほどに悪質だった。野球選手と言うより、アウトロー(闇)の世界で将来生きていったほうがよっぽど似合う。

そしてそんなラフプレーを認める主催者の見識も疑ってしまう。敗れた日本は明日5位決定戦にまわるが、そんな試合はやめてさっさと帰国したほうがよい。選手の身体こそ大切だ。そして次回以降、この大会に出場する必要はないと思う。こんな大会で仮に優勝しても何ら価値はない。