ファイターズのファームの本拠地に足繁く通うファンの間では“きゅん”というニックネームが定着しているファイターズの二年目、谷口雄也が今日(4日)初の一軍入りを果たし、東京ドームの対ゴールデンイーグルス戦でいきなり「二番・右翼」でスタメン出場。ヒットは出なかったが、初打席で送りバントを決め、八回の守備では安打の打球を処理して素早いバックホームで相手走者をホームで刺した。

糸井嘉男の復帰が近く、それまでのお試し昇格との声もあるが、また一人鎌ヶ谷のファンの期待の星が一軍デビューを飾った。

谷口雄也。あの斎藤佑樹を引き当てた2010年のドラフト会議の5位指名。斎藤を筆頭に大学生、社会人の投手中心の指名傾向だったこの年、2位指名の西川遥輝と二人だけ高校生だった。甲乙付けがたいイケメンで、佑ちゃんは別格としても鎌ヶ谷に足繁く通う女性ファンの人気を二分するほど。

今季、西川が一足先に一軍入りを果たしたが、昨年のルーキーイヤー、右肩手術の影響で守備につけず、イースタンでの出場は専らDHとしてであった西川はおそらくは今季は一試合でも多くイースタンで二塁の守備につかせ、経験を積ませる方針だったと思う。それがターメル・スレッジの長期離脱などで一軍に上げざるを得なかったのだろう。

谷口は同じく打撃を売りにしているが西川に比べると完成度が低く、もうしばらくは二軍で経験を積ませるのだろうなと見ていたが、今回抜擢された。今季のイースタンでの谷口は打率が規定打席不足ながら.308。本塁打は0ながら二塁打4、三塁打3で、20打点。長打力の片鱗はうかがえる。

今回の一軍入りは谷口自身の好調さを買われてというより、左内腹斜筋挫傷で欠場している糸井嘉男の復帰までのつなぎ役だろう。谷口の登録に先立って昨3日、谷元圭介の登録が抹消されている。ファイターズは今節五試合しかないので、先発要員の谷元を抹消して外野手を補充したのだろう。この五連戦の後は九連戦。ここでまた先発投手の頭数が必要になってくるから、谷口はアピールするには九連戦までに結果を出さなければならない。

そしてその糸井も、今日一軍の試合前練習に参加した。まだまともなスローイングが出来る状態でなく、試合に出場できるにしてもDHか代打。5日には出場選手登録可能になるが、栗山英樹監督は再登録先延ばしを示唆するコメントを残した。

「二番・右翼」でスタメン出場した谷口は一回裏のプロ入り初打席では一塁走者を二塁に進める送りバントを決め、上々のスタートを切った。
だが、第二打席は見逃し、第三打席は空振りと二打席連続三振。第四打席で代打を送られた。
これだけなら「残念なデビュー戦だった」という一言で片付けられるのだが、八回表に守備で魅せた。

先発の武田勝は初回に先頭打者の聖沢諒に本塁打を浴びた。
どうなることかと思ったがこの回以外は丁寧に丁寧に投げており、0対1のまま推移していた。
八回表、嶋基宏の安打から牧田明久のバントで一死二塁。この時バント処理で足を捻った武田勝が交代。
石井裕也、ダスティン・モルケンとつないで何とか追加点を防ごうとする中、二死一、二塁からホセ・フェルナンデスがライト前に安打を放ち、谷口がバックホームで走者を刺したのだ。


かつて名将と呼ばれたジャイアンツの藤田元司監督は、当時若手だった緒方耕一を谷口と同じように初めて一軍登録してすぐにスタメン起用した時に緒方が三振はするわ、守備で失策するはで散々だった。打順が回ってきたら替えようと思った藤田監督だったが、実際には代打を送らずに送りバントのサインを出して送らせ、守備から緒方を外した。藤田監督は、緒方に何か一仕事を決めさせてから引っ込めた方が本人も精神的トラウマから解放されるとみたのだ。その後の緒方の活躍は周知の通り。