自転車に乗れないという人はまれにいますが、日本に生まれ育った人で、本を読めないという人はまずいないでしょう。本を読むという行為は、自転車のように練習する必要もありません。技術はなくても、字が読めれば「できる」ことだからです。

 しかし、『読書の技法』を読むと、そうとも言い切れないことに気づきます。死ぬことが運命づけられている人間にとって、技術を習得して正しく読書をすることは、人生を2倍、3倍にも豊かにすることができる――。そう指摘するのは、本書を書いた元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏です。

 佐藤氏は、1カ月平均で300冊以上の本に目を通すといいます。1年じゃありません、1カ月です。多い月には500冊を超えることもあるそうです。この「目を通す」という行為、私たちが思う読書とは少し違います。読書の達人、佐藤氏にとっても、「熟読」している本は洋書を含めて平均4〜5冊で、その他は、「速読」「超速読」の方法で読んでいるそうです。これら速読の第一の目的は「この本が自分にとって有益かどうか」の仕分け作業。ここで、時間をかけて読むべき本かを判断するのです。

 1冊を5分で読む超速読の方法を簡単に紹介しましょう。まず序文の最初の1ページと目次を読み、それ以外はひたすらページをめくります。このとき、文字を読まずに、とにかくページ全体を見るのがコツ。ビジネス書で強調箇所が太字やゴシック体で書かれているものは、そこを追っていけばいいそうです。気になる箇所や語句には、シャーペンでしるしをつけ、付箋を貼ります。そして、結論部のいちばん最後のページを読んで終了です。

 タイトルにひかれて買ってはみたものの、部屋の隅に放置している本がたくさんある、「積ん読」派の人にもこの超速読はおすすめ。本書を読むと、漫然と毎日を過ごしている自分に、著者が喝を入れてくれたような気持ちになります。



『読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』
 著者:佐藤 優
 出版社:東洋経済新報社
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