馬刺しだけでは終わらない! 本場熊本で馬肉料理のオンパレード

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九州のほぼ真ん中に位置し、熊本城や雄大な阿蘇など見どころもいっぱいの熊本県。

この土地の代表的なグルメといえば、まず思い浮かぶのが馬刺しだろう。

ピンクがかった肉色から「桜肉」とも呼ばれ、口の中でとろける脂の甘みはたまらない。

しかし、ここで疑問が。

地元の人は刺し身ばかり食べているのだろうか? 他の料理法はないのだろうか? 地元の人気店に探りをいれることにした。

お目当てのレストランに向かう前に、まずは熊本県内の肉屋とスーパーをのぞいてみた。

すると、豚肉や牛肉と並んで馬肉も売られているではないか。

肉屋さんに話を聞くと、家庭でも晩酌を楽しみたい時や人が集まる時などに、魚の刺し身の横に馬刺しが並ぶのは当たり前だという。

また、飲食店のメニューにも当然のごとく馬刺しがあり、桜鍋と呼ばれる鍋料理や焼き肉を提供する専門店も多いそうだ。

しかし、なぜこれほどまでに、熊本では馬肉がもてはやされているのか。

馬肉人気が定着した理由については諸説ある。

とりわけ広く知られているのは、いまなお県民に愛されている初代熊本藩主・加藤清正の説だろう。

16世紀の文禄・慶長の役で食料が底をついた清正軍が、やむを得ず戦で傷ついた馬を食したことがきっかけとなり、その後、熊本で薬膳料理として広まったというものだ。

そのおかげか、熊本県は馬の数、馬肉の生産量とも全国一位。

生産地が近く、新鮮な馬肉がたやすく手に入るということも、高い馬肉消費量を誇る理由の一つだろう。

さらに近年では、馬肉はヘルシー食材としても注目されている。

牛肉に比べて高タンパクながらカロリーが低く、鉄分やカルシウムなど、ミネラル類を豊富に含んでいる優れた食材であることが分かったのだ。

ちなみに、馬肉、牛肉、豚肉の100グラムあたりの栄養成分を比較すると、圧倒的に馬肉が優勢といえるだろう。

こうなると、乗馬のイメージが強いことから「かわいそう」と敬遠していた女性たちも、美容のためにせっせと食すようになり、消費増に貢献するようになった。

馬刺し以外にも、鍋料理や焼き肉があることは分かった。

しかし、もっと珍しい料理はないのだろうか。

そこで、地元の常連客も多い、熊本市郊外の熊本空港近くにある、「菅乃屋西原店」に出掛けてみる。

すると、着くなり納得。

なんと馬肉料理のオンパレードではないか。

馬刺しや焼き肉はもちろんのこと、ステーキやハンバーグ、カレー、シチューなど、馬肉を使った洋食メニューがズラリ。

しかも、メーン料理を選べば、焼き立てパンやサラダが食べ放題。

ドリンクバーも付くバイキングスタイルで楽しめるという。

店長の本田さんに話をうかがったところ、人気メニューは、プレミアムステーキと国産馬肉100パーセントのハンバーガーとのこと。

プレミアムステーキには、霜が入った希少な三角芯と呼ばれる部位が使われている。

ところで、馬肉生産量日本一の熊本とはいえ、牛肉に比べてはるかに流通量が少ない。

本当に国産で全てまかなえているのだろうか。

しかも希少な部位が容易に手に入るのかどうかも気になる…。

この疑問に本田さんは、「阿蘇に自社牧場があり、カナダの契約牧場から生きたまま空輸してきて肥育しています。

だから上質で安全な馬肉を安定提供できるんですよ」とあっさり答えてくれた。

なるほど。

自前の牧場で大きく育てているのだったら、肉質も間違いないし、供給面でも問題ないのだろう。

せっかくなので、馬肉のおいしい食べ方も教わった。

「牛肉に比べて馬の脂は融点が低く、人肌でも溶けるほど。

ですから、焼き肉やステーキでは、火を通し過ぎないことですね。

表面をサッとあぶる程度で十分です。

肉のやわらかさが堪能できますよ」。

早速そのアドバイスに従って焼き肉をいただいたところ、本田さんの言葉にうそはなく、とろけるようなやわらかさを満喫できた。

とてもかみ切りやすくて、かつ、口の中にいつまでも残ってしまうようなこともない。

もちろん、肉のうまみもしっかり味わえる。

かむほどに脂の甘みが口中に広がっていく。

しかも、馬肉は消化がいいから、いくらでも食べられそうだ。

これは本当に熊本の人がうらやましいと心底思った。

どうやら、焼き肉ならぬ、焼きモチを焼いてしまったようだ。

こんなにおいしい焼き肉だけでなく、ハンバーガーやステーキといったメニューでも、毎日馬肉を楽しめる熊本。

住んでみてもいいかもしれないとつい思ってしまった。