真相にガッカリする話 UFO墜落編




今でもあっちこっちでUFOの映像が撮影されYouTubeに上げられたりしています。UFOという言葉の響きは多くの人をひきつけてやみません。筆者などUFO話が大好きです。ただしUFOがエイリアンクラフトとして存在していることは信じていません(笑)。いまだに1947年にロズウェルにUFOが落ちた!などと言ってる人がいますが、真相はホントにガッカリする話なのです。UFOに関するガッカリする話をしましょう!



●ロズウェルにUFOが墜落!?

1947年7月8日、アメリカ合衆国ニューメキシコ州のロズウェル陸軍飛行場でウォルター・ハウト中尉が「かねてから話題のUFOの残骸を第8空軍第508爆撃大隊情報部が回収した」と発表。



ウォルター・ハウト中尉は基地の広報担当官でした。しかし、この広報発表は基地司令の許可を得ないで行われた「トバシ」であり、発表数時間後に正式に否定、訂正されます。いわく「回収したのは円盤などでなくただの観測気球だった」と。オチがついたので、その後、こんな話はずっと忘れられています。ところが……。



●ロズウェル事件の発見! 証言者が続々!

1980年になってUFO研究家のチャールズ・バーリッツとウィリアム・ムーアが『The Roswell Incident』(邦題:ロズウェルUFO回収事件)でこの事件を掘り起こしました。これで「実はUFOが墜落していたかも!?」というこの本は結構なセンショーションを巻き起こしました。影響は大きく、この後、証言者が数多く現れます。



例えば、当時ロズウェルで葬儀屋を営んでいたグレン・デニスは基地の病院に勤めていたナオミ・マリア・セルフという看護婦から「指が4本の生き物(宇宙人)の解剖を手伝った」と聞いています。またソコロに住んでいたバニー・バーネットは「1950年ごろに宇宙人と墜落した円盤を見た」と証言。こういった証言の補強によって、「ロズウェルにUFOが墜落したかも?」は「UFOが墜落したに違いない」になっていきます。



●アメリカのUFOマニア

UFOの話は夢がありますね(笑)。ロズウェル伝説はあっちこっちの物語に引用されています。挙げ始めるときりがないですが、例えば一世を風靡(ふうび)したTVドラマシリーズ『Xファイル』はUFOに関するフォークロア(伝承話)がテーマですし、映画『インディペンデス・デイ』などは茶化しつつもうまく物語に利用しています。



ではロズウェルでは実際に何があったのでしょうか? ここがアメリカと日本の違うところですが、アメリカのUFOマニアと言われている人たちは、もうとにかく一生懸命調べるのです。図書館に行って当時の新聞を読み、国立公文書館に行って資料をあさり、独自に取材をしてインタビューを取る。結果、ガッカリなことが判明します(笑)。



●そんな看護婦はいませんでした

まず「基地に勤めていた看護婦から宇宙人解剖の話を聞いた」という話をした葬儀屋グレン・デニス。確かに彼は葬儀屋をやっていて、仕事柄、ロズウェル基地とは親密な関係だったようで、それは確認されています。問題は、彼が語った「看護婦」。

『オムニ』という雑誌がこの証言のウラをとりました('95年)。調べに調べて、当時ロズウェル基地には5人の看護婦がいたことをつきとめ、そして唯一存命中だった看護婦のインタビューに成功しました。その看護婦は「ナオミ・マリア・セルフなんて名前の看護婦はいなかったし、宇宙人の解剖の話なんて聞いたこともない」と言ったのです。つまり全部ウソだったわけです(笑)。



●奥さんの日記でウソが発覚

また、「1950年ごろに宇宙人と墜落した円盤を見た」と証言した前述のバニー・バーネット。彼の話もウソだと判明しています。UFO研究家が調べに調べて、彼の奥さんがつけていた日記を'90年に発見。そこにはだんなの行動が微に入り細に入り書かれていた。でもそこにはUFOを目撃したとかいう話はまったく書かれてなかったのです。ロズウェルに何かが墜落したという日には、現場に行ってないことが日記に書かれてる。従って、何かを目撃できるハズがないわけです。



これ以外の証言でも、まったくウラがとれなかったり、ウソだったりが発覚して、ロズウェルにUFOが落ちたとできる話はまったく存在しないのです。なにせ60年以上前に起こった話なので「調べようがないだろう」と思ってみんなウソを言うんでしょうね(笑)。



●じゃあ何が落ちたのか?

とにかくUFOが落ちたなんて証拠はまったくないわけです。ただし、何かが落ちたのは確かです。回収されたものの記録が残っているからです。それはこのようなものでした。「アルミ箔、バルサ材の棒、紙、鳩目金具、象形文字風の模様が入ったテープ」。



1990年代にUFOマニアに「政府はロズウェルで何があったかを明らかにせよ!」という運動が起きます。政府は(面倒臭いので)渋々調べて、その調査結果を公表しました。



●だから気球だってば!

政府の発表内容は「ProjectMogulに使った気球が落ちたものと思われる」というもの。当時のアメリカはソ連との冷戦真っただ中。米陸軍と空軍は、共同でソ連の原爆開発を監視するためにProjectMogulという秘密作戦をやっていたのです。



これは、気球を上げて(ソ連の)原爆実験の音響波を拾うという計画でした。当時、軍が実験で使っていた気球の材料が、まさにその回収されものと同じだったのです。象形文字風の模様というところをとらえて、宇宙人の文字では? なんていう人もいましたが、当時軍は気球につるすレーダーターゲット(レーダーにとらえられるようにするためのヒラヒラした部分)におもちゃメーカーから調達したテープを使っていました。その柄がまるで象形文字のように見えただけだったのです。



●UFOファンはガックリ

当時はProjectMogulは極秘作戦でした。なので、その気球を「観測気球です」として発表したわけですね。この真相は非常にUFOファンをガッカリさせました(笑)。この真相にも「政府の隠ぺい工作だ」という人がいます。UFOフォークロアは宗教にも似て、信じる人(ビリーバー)はどこまでも他人の言うことを聞きません。ビリーバーがいる限り、UFO話は絶えないのです。宇宙人の解剖ビデオの顛末などもコントのような傑作話なのですが、それはまたの機会にいたしましょう(笑)。



ちなみにUFO墜落50周年の年、1997年に出版社に勤務していた筆者は、『と学会』の疑似科学ウオッチャーとして有名な皆神龍太郎さんに「エリア51の取材に行きませんか」と持ちかけたことがあります。エリア51で墜落記念イベントが開催されるということだったのです。しかし、結局ふたりとも仕事の都合で行けませんでした。今から思えば悔やまれてなりません。しかし「墜落50周年記念イベント」って(笑)。だから落ちてないというのに!







(高橋モータース@dcp)