「『東京ガールズコレクションの映画化権で13億円のカネが入るから、支払いは待ってくれ』。当時、Wは確かに私にそう言いました。だが、その入金がズルズルと延びて、結局、『イエローキャブ』の社長を自殺に追い詰めてしまった。そんな人間がいまだに芸能界でぬくぬくとしていることに我慢がならないのです」
 こう憤りを露わにするのは、芸能コンサルティング会社を経営するI社長だ。
 同氏が語る「W」とは、過去に数々の邦画をヒットさせてきた、映画製作会社の代表兼有名プロデューサー。ところが、この人物が6月28日に自殺した芸能プロ『イエローキャブ』社長の帯刀孝則氏の悲劇に、大きく影響を及ぼしていたというのである。

 『イエローキャブ』とこの有名プロデューサーの繋がりについては後述するが、その発端となったのは「昨年中旬に、Wが目論んだ芸能プロ買収計画だった」(I社長)という。当時、“ヒットメーカー”として知られたW氏は、「節税と業務円滑化」のために芸能プロの買収を計画。そのコーディネートを依頼されたのが、I社長だったのだ。
 「依頼された買収計画の基準は、1億円以上の赤字を抱え、金のなるタレントを抱えた会社だった。そのため、私は負債に苦しむプロダクション数社の決算書を集めたが、Wは莫大な金が入るから大丈夫だと話していたのです」(I社長)

 ちなみに、その入金見込みの一つが、冒頭でも語られた『東京ガールズコレクション』(以下、TGC)の映画化権だったのである。
 ご存じの通り、TGCは'05年から開催された物販とライブが融合した一大ファッションイベント。近年は名古屋、沖縄、北京でも開催され、国交省や外務省も支援する人気ぶりを誇っている。
 また、一方では美乳タレントの菜々緒など多数の芸能人を輩出しており、その映画化権ともなれば、投資家たちが食指を動かさないはずはない。しかもW氏は「ほかにも入金のメドがある」と漏らしていたと伝えられ、I社長はこの言葉を信じて買収話に奔走していたのである。

 ただ、「それが後に帯刀社長の悲劇に繋がった」とI社長は言う。
 「Wが白羽の矢を立てたのは、小池栄子や佐藤江梨子などの看板タレントを抱え、一大巨乳グラビア帝国を築いた『イエローキャブ』だった。そのため、私が同社の帯刀社長との仲介役となり、買収話をまとめたのです」

 ところが、1億5000万円に決まった同社株51%の取得時期が迫ると、W氏は「入金は待ってくれ!」の一点張り。それ以後、グズグズの“支払い延ばし”が始まったのだ。
 「最初は年末までに支払うと言っていたのですが、年が明けると『5回の分割にしてくれ』。さらにその後は、『融資に切り替えたい』と言って、連絡すら取れなくなった。Wは当初から『他からの買収は受けない』という約束までさせていましたからね。入金をアテにしていた帯刀氏は、その板挟みで悲劇の最後を遂げた可能性が極めて高い。気の毒でなりません」(同)