【松岡賢治のマネーtab】クレジットカードのリボ払いとキャッシング、どっちのほうが損失が少ない?

    夏休みシーズンもピークを過ぎた。この時期、9月上旬から末にかけて到来する、クレジットカードの支払いに頭を痛めている人も多いだろう。夏のボーナスや夏休みに、ついつい使いすぎてしまったツケを支払う時期だから。もし、カードの支払いが予想以上に多額だったらどうするか? 
 普通預金の残高に余裕がある人はいいだろう。しかし、そういった余裕資金がない人にとっては、現実的な選択肢として、次の3つが考えられる。

?定期預金などの虎の子の資産を取り崩す

?「リボ払い」にしてしのぐ

?後ろめたいが「キャッシング」する

 損失を最小限に抑えるという目的であれば、おすすめなのは、?の定期預金などの取り崩しだ。コツコツと貯めてきた金融商品を解約するのは残念だが、利回りは1%以下だと思われるので、他の2つと比較すれば、ましである。少なくとも、損をすることはない。ただし、この?が選択できる人は少数派だろう。そもそも、無計画にカードを使いすぎることがないタイプかもしれない。多くの人は、?と?で迷うことになるのではないだろうか。では、この2択ではどちらが損が少ないのか? 正解は?である。リボ払いよりもキャッシングしたほうが、損失は軽くてすむケースが多い。

■「リボ払い」は、普通に考えられているより、じつは多くの金利を負担している

 現在、ほとんどのクレジットカードには「リボ払い」(正式名称は「リボルビング払い」)という機能が付いている。例えば、合計10万円の買い物をしても、リボ払いの金額を1万円としておけば、カードの支払いは約1万円で済む。だが、この1万円の支払いは、カードの支払い残高が0円になるまで続き、その間、残高には金利がつく。

 最近は、カード決済時にリボ払いを選択していなくても、カードを利用した後で、リボ払いにできる「後リボ」という機能もある。支払い金額が膨れ上がり、「今月は一度に支払えないな」という時に利用すれば、支払いが滞ることが避けられるようになっている。だが、基本的に「リボ払い」は、普通に考えられているよりも多くの金利を負担していることを覚えておきたい。

 では、10万円の買い物をして、毎月1万円ずつの「リボ払い」をした場合を考えてみよう。「リボ払い」の金利はカード会社によって異なるものの、キャッシングやカードローンの金利よりは低く設定されている。10万円のキャッシングの金利が18%であれば「リボ払い」の金利は、15%といった具合だ。

「リボ払い」で引き落とされる金額は、設定した支払い額+金利分。1回目の引き落とし額は1万円+金利となり、その金利分は10万円×15%÷12か月=1250円。これは、10万円を年率15%で借りた場合の1か月分の金利(=1.25%)に該当する。2回目の引き落とし額は、同様に1万円+金利となるが、2回目の金利分は、リボ払いの残高が9万円になっているため、9万円×15%÷12か月=1125円となる。

 以下、同じように計算すると、3回目の金利分は1000円、4回目は875円となっていき(残高が1万円ずつ減っていくので金利分の金額も125円ずつ減っていく)、10回目で1万円+125円を支払って「リボ払い」は終了となる。この間の金利分の利息は合計すると、6875円となる(支払い合計金額は10万6875円)。

 一方、10万円のカード払いを「キャッシング」して支払った場合は、どうだろうか。キャッシングの年率が18%の場合、1か月後にそのキャッシングを返済することができれば、金利分は10万円×18%÷12か月=1500円で済む。「リボ払い」と比べて、5000円以上も負担が少ないのである。

■多少の金利差であれば、返済期間を長く設定しないこと

「キャッシング」を1か月後には返済できなくても、ボーナスが出る3か月後なら返済できる場合もあるだろう。それでも「リボ払い」より、キャッシングやカードローンのトータルの返済額は少なくて済むのだ。つまり、多少の金利差なら、返済期間を長くすることは非常に不利になるのである。

 よく、海外旅行の費用をリボ払いにしている人を見かけるが、そういう人は、1年中金利を負担していることになる。また、今はリボ払いにすると、カードのポイントが多く付与されるというサービスも増えているが、多少ポイントが増えたところで、負担する金利は賄えないのである。

 したがって、心理的な抵抗感は強くても、キャッシングやカードローンを利用する方が、リボ払いよりは損失を軽微にできる、といえよう。ただし、カードを使いすぎても「キャッシングすればいいや」という?借りグセ?は作らないようにしたい。あくまで、緊急避難的な措置であることを忘れないようにすることが肝心だ。
 
 また、リボ払いを利用しても、残高を一度に返済できるサービスがあれば、いったんリボ払いにしておいて翌月一括返済するという手もある。これならば、キャッシングなどより有利になる。だが、リボ払いにするときはそう心に決めていても、翌月になると、「ま、いいか」となって、ついラクなリボ払いを続けてしまいがち。

「すぐにでも返さなくちゃ」という心理になりがちな、キャッシングやローンだが、自分の性格なども勘案して、より損失を少なくできる返済方法を賢く、冷静に選んでほしい。

(文/松岡賢治)

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。