天の川の正体を探る






夜空を美しく彩る「天の川」。皆さんは実際に見たことがありますか?



都会のような明るい場所では、なかなかその美しい姿を見ることができませんが、山間部のような暗い場所に行くと、肉眼でも夜空を流れる天の川を見ることができます。



今回は、そんな天の川の正体に迫ってみたいと思います。



■天の川とは…



天の川のことを英語では「Milky Way (ミルキーウェイ)」と言います。



「Milky Way」は直訳すると「ミルクの道」。

ヨーロッパでは、天の川のことをギリシア神話の女神ヘラの母乳が流れ出たものに見立てているため、このように名付けられました。



一方、中国では天の川のことを銀色の河になぞらえて「銀河」と呼んだほか、古代エジプトでは「天のナイル川」、インドでは「天のガンジス川」など、天上を流れる大きな川に見立てた呼び方も多いようです。



ところで、天の川が光り輝く星たちの集まりからできていることをご存じの方は多いと思います。



天の川がそのような無数の星の集合体だということは、古代ギリシアの数学者ピタゴラスなども考えていましたが、それを最初に確認したのは、あの「ガリレオ・ガリレイ」です。



望遠鏡を使った天体観測を行い、「天文学の父」とも呼ばれたガリレオは、その観測の中で、天の川が無数の星の集まりだということを発見したのでした。



■天の川=銀河系?



銀河系のことを英語では、「the Galaxy」または「Milky Way」と言います。



「Milky Way」と言えば、先ほども紹介した通り、「天の川」のことを意味しています。



そのため、日本語でも銀河系のことを「天の川銀河」と呼ぶことがあります。



でも、一体なぜ銀河系と天の川が同じ単語(=Milky Way)で表されるのでしょう。

そして、なぜ天の川の部分には星が密集しているのでしょう。



それは、天の川の正体が銀河系そのものだからです。

地球から天の川を見ると、雲状の光の帯のように見えますが、それは私たちがいる銀河系を内側から眺めた姿なのです。



銀河系には、太陽と同じような恒星がなんと2,000億個ほども集まっており、その直径はおよそ10万光年、中心部分の厚さはおよそ1.5万光年という、とてつもない大きさをしています。



また、その形状は薄い円盤状をしているため、その内側に存在する地球からはその部分が光の帯のように見えるというわけです。(つまり、天の川の川幅は一番太いところで1.5万光年となりますね。)



■天の川を見るには



天の川は1年中見ることができますが、特にどの季節が一番きれいに見えるのでしょう。



地球や太陽系は銀河系の中心からおよそ3万光年離れたところに位置しており、その場所は地球から見ると、いて座の方向にあたります。



銀河系は中心部にもっとも星が集まっているため、天の川はいて座やその隣のさそり座の付近が最も明るく見え、中心方向とは反対側にあたるオリオン座の付近が最も暗く見えます。



いて座やさそり座は夏の夜空に見られる星座であるため、冬よりも夏の方が天の川の姿をハッキリと見ることができるというわけですね。



月明かり程度でも、天の川は見えにくくなってしまいますので、月が暗い夏の新月の日に、山などで観測すると、きれいな天の川を見られると思います。



■まとめ



今回は天の川の正体に迫ってみました。



天の川が、実は銀河系を内側から見た姿だったということをお分かりいただけたでしょうか。



地球からはぼんやりした光の帯のように見えるものが、実はその1つ1つが太陽と同じような無数の恒星の集まりだと考えると、あらためてその壮大な数と規模に驚かされますね。



(文/寺澤光芳)



■著書プロフィール

寺澤光芳。小さいころから自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。