MLBでは優勝をあきらめたチームはリストラモードに入るものだが、ボストン・レッドソックス=BOSも例外ではなかった。松坂大輔の入団以来、ニューヨーク・ヤンキース=NYYとならぶエリート球団として知られていただけにショックだ。

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BOSの本拠、フェンウエイパークは、圧倒的に打者が優位な球場だから、強力打線を構築していくのが主眼となる。いつの時代もBOSの戦略はそうだったが、同時にロジャー・クレメンス、ペドロ・マルチネス、カート・シリング、最近ではジョシュ・ベケットのように、ヒッターズパークのハンデをものともしない投手が次々と出て、打撃の優位を享受しつつ白星を挙げていたのだ。

昨年、BOSはサンディエゴ・パドレス=SDからエイドリアン・ゴンザレス、ライバルのタンパベイ・レイズ=TBからカール・クロフォードと大物打者を2人獲得。しかし投手陣はアンドリュー・ミラーを入れたくらいでほとんど補強をしなかった。
このために、ワイルドカード争いでTBに敗れ去り、監督フランコナーも解任された。

今年はバレンタインが監督となったが、今季も投手陣はアーロン・クック、パディーヤ、メランソンを獲得した程度で、打線頼みのままでスタートした。

エイドリアン・ゴンザレスは期待通りの働きだったが、クロフォードは故障がち、そして昨年でも13勝を挙げていたエースのベケットが大不振。バックホルツとドゥブロンが二けた勝利を挙げているものの、セットアッパー、クローザーも不振。勝率5割を割って、ポストシーズン進出が絶望的となっていた。
投打のバランスが崩れたままだったのだ。あまり目立っていないが、ジェイソン・バリテックのあとにしっかりした正捕手を据えることが出来ていないのも大きいかもしれない。

これに対し、ロサンゼルス・ドジャース=LADは、昨年、オーナー夫妻の離婚騒動というスキャンダルもあってチームが低迷したが、今年3月にマジック・ジョンソンを含む新しいオーナーグループが球団を買収、シーズン中にハンリー・ラミレス、ジョー・ブラントンを獲得するなど、潤沢な資金で急速にチームを立て直していた。

結局、BOSは昨年、最大の目玉として獲得したゴンザレス、クロフォードにエースのベケット、ニック・プントを長期契約ごと放出。LADは総額2億6000万ドルで主力選手を買い取ったわけだ。

これによって、BOSはLADから5人の選手を獲得した。年俸は全部で730万ドル。

また、DLからデービッド・オルティーズが復帰。日本人関係でいえば、昨日マイナー落ちした田澤純一が昇格。松坂大輔も昇格し、先発が決まった。

しかし、BOSはこれまでのチームを白紙に戻し、一からチームを立て直そうとしている。契約最終年の松坂はここから連続完封するなど抜群の数字を残さない限り、残留は至難だろう。反対に田澤は数字から見ても契約延長の可能性は大きいだろう。

LADはナリーグ西地区でサンフランシスコ・ジャイアンツ=SFと2ゲーム差。ワイルドカード争いでも首位と0.5差。新戦力でラストスパートをかける気だろう。

それにしてもMLBのトレードはものすごい。アナ双方の勢力図がこれで大きく変わるだろう。