映画を紹介する仕事をしていると、時々、映画を見ることが義務のようになってしまうことがあります。でも、予告編を見ただけでグッときて、「この映画は絶対に見なければ」と思える作品に出合えることも。そんなときは、とても幸せな気分になります!

 今回、紹介する映画は、まさに“一目ぼれ”作品です!


 パリに暮らす大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、パラグライダーの事故で首から下が麻痺し、介護者を必要としています。でも、彼の介護者になった者は、みんな1週間で逃げ出すほど、フィリップは気難しくて傲慢。そんな彼の介護者の面接に、スラム街出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)が現れます。

 今までに出会ったことがないタイプの、まるで異次元から来たようなドリスに目を留めたフィリップは、彼を雇うことに。いつもお気楽でマイペースなドリスは、下品な下ネタやブラックジョークを飛ばしながら、彼のやり方でドリスを介護し始めます。


 誰もが自分に同情することにうんざりしていたフィリップは、障害者であることも気にせず、全く気を使わない粗野なドリスを気に入り、シニカルなユーモアで彼に対抗するうちに、毎日を生き生きと楽しく過ごすようになっていきます。



 ドリスは、不治の病で最愛の妻を亡くしたフィリップが悲しそうなのを見かねて、“マッサージ”を手配したり、彼が文通している女性に、「手紙だけの付き合いなんて時間の無駄」だと勝手に電話をかけて、強引にフィリップにデートを勧めたりします。



 フィリップはドリスをパラグライダーに誘ったり、ドリスはクラシックしか聞かないフィリップに、自分の好きなソウルミュージックを教えてダンスを披露したりと、笑いと冒険に満ちた日々を送る2人。でも、そんな彼らに、突然の別れが訪れます……。



 本作は、実話に基づいて製作されました。オリヴィエ・ナカシュとエリック・トレダノの2人の監督は、パラグライダーの事故に遭って頸髄損傷になった、フランスの貴族家系の生まれのフィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴと、彼を介護するために雇われた若者アブデル(ドリスのモデルとなった人物)を描いたドキュメンタリー作品に感銘を受け、映画化に乗り出したそうです。


 家族との確執や問題を抱えているドリスは、フィリップの介護をするまでは、仕事もなく、悪い仲間とつるむ毎日でした。フィリップも、何から何まで人の世話になり、腫れ物に触るような接し方の周囲にいら立つ日々を送っていましたが、自分を平気で助手席に座らせて、乱暴な運転をするドリスの無鉄砲さに、スリリングな快感を思い出し、自分自身を取り戻していきます。


 この“最強のふたり”は、見る者を幸せにし、たくさんのパワーをくれます。おなかがよじれるほど笑って、そして涙があふれてきます。フランスをはじめ、ヨーロッパで空前の大ヒットを記録した映画「最強のふたり」。予告編で一目ぼれし、見終わる頃には大本命となった本作は、本当におすすめの作品です。

「フランソワ・クリュゼとオマール・シー出演映画」DVD紹介

「ラウンド・ミッドナイト」


 ランソワ・クリュゼが、伝説のジャズ・ミュージシャンを支えるデザイナーを演じた、こちらも実話をベースにした人間ドラマ。50年代末のパリ。ジャズクラブ“ブルー・ノート”に、ニューヨークからテナー・サックスの名手、デイル・ターナー(デクスター・ゴードン)がやって来る。大物の来場に沸き返るクラブの外で、貧しいデザイナーのフランシス(クリュゼ)は、雨に打たれながら1人、その音に陶酔していた。フランシスは、この音楽こそ“神の声”と確信するが、ジャズ界の巨人として君臨してきたデイルは、酒とドラッグに溺れ、破滅へと向かっていた。デイルのモデルとなったのはバド・パウエル。ハービー・ハンコックが音楽監督を担当し、アカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞した。

1986年/アメリカ/デクスター・ゴードン、フランソワ・クリュゼ
ワーナー・ホーム・ビデオ/DVD1500円/発売中
「ミックマック」


 レンタルビデオ店で働くバジル(ダニー・ブーン)は、発砲事件に巻き込まれ、頭にピストルの弾を受けてしまう。一命は取り留めたものの、頭には弾が残ったままになる。仕事も家も失ったバジルは、外で寝泊りをしながら、パントマイムで生計を立てることに。そんなバジルを見かけたガラクタ修理屋のプラカール(ジャン=ピエール・マリエル)は、彼を仲間と暮らしている所へ連れていき、みんなでバジルの頭に残ったピストルの弾を作っている会社に“仕返し”を開始する。オマール・シーは、個性豊かな仲間の1人で、ことわざの天才で民俗歴史学者のレミントンを好演している。

2009年/フランス/ダニー・ブーン、オマール・シー
角川書店/Blu-ray2625円、DVD1890円/発売中