話題作『るろうに剣心』の原作漫画は10年以上前の作品なのに、いま実写化された理由【最新シネマ批評】

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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは8月25日より公開、人気漫画の実写化『るろうに剣心』です。原作は10年以上も前のもので、原作漫画のファンでさえ「なぜいま実写化?」と思ったそうですが、スタッフの答えは明確でした。「今まで実写化されなかったのは剣心を演じられる役者がいなかったから。でもその人が見つかったから実写版がスタートしたのです」と。それが主演の佐藤健。でも漫画の剣心を見ると納得しますよ。「あ、ソックリ!」と。記者もスタッフが「やっと見つかった」と思う気持ちわかりましたよ。

舞台は明治時代。暗殺者として「人斬り抜刀斎」と呼ばれてきた剣心は、いまは切れない刀を持ち、人を助けるために流浪の旅を続けていました。その彼が亡き父の道場を守る薫のもとで居候をすることに……。そこで剣心は、罪なき人を自分の野心のために亡き者にしようと陰謀をめぐらす悪人たちの存在を知り、苦しむ人々を助けようとします。しかし、いまの彼は「人斬り抜刀斎」ではありません。人を斬ることをやめた彼の闘いとは……。

人を斬り捨ててきた十字架を背負う剣心という主人公は背景だけを聞くとヘビイな存在ですが、彼のひょうひょうとしたキャラクターはこのアクション時代劇に爽やかな風を取り込むことに成功しています。剣と剣のぶつかり合いで、男臭く汗臭くなりがちな時代劇に、このようなフワンと軽やかで小鹿のようなルックスの剣士というのは珍しく、10年以上前の原作にもかかわらず、現代的でフレッシュな印象です。

それでもアクションシーンは本格的で、剣心がスピーディな動きで剣と剣をぶつけ合い、飛んで跳ねて前から後ろから攻撃をしかける姿は、目にもとまらぬ速さ! 活劇エンタティメントとしてワクワクさせられる輝きに満ちたシーンの連続にスクリーンから目が離せません。なるほど、この意外性がこの映画のアクションのポイント。フワンとして強そうには見えない剣心が突然豹変し、すばやい身のこなしと剣人ぶりを発揮するのが魅力なのでしょう。

原作の和月伸宏氏は、この撮影現場にとても刺激を受けて、なんと原作のリメイクとして漫画誌ジャンプスクエアに「るろうに剣心-キネマ版-」を6月号より連載しています。もちろん佐藤健演じる剣心にも大満足で「バッチリです」とコメントを寄せています。また監督は「ハゲタカ」「龍馬伝」を演出して人気ディレクターとなった大友啓史。同じ時代劇だからか、やはり映像のカラーや演出の切れが「龍馬伝」と少しかぶります。「龍馬伝」のキャストだった佐藤健、蒼井優、香川照之、青木宗高が本作にも出演しているから余計に……。彼らのキャスティングは、狙い? 偶然? 監督のお気に入り?

時代劇といえばオールドな映画ファンや時代劇マニアが劇場へ足を運ぶイメージが強かったけど、本作は原作ファン及び、佐藤健ファンの女子とアクション好きの若い人たちが劇場に集まりそう!まさにネオ時代劇として『るろうに剣心』が、時代劇ブームを呼ぶかもしれませんね!

(映画ライター=斎藤 香)

『るろうに剣心』
8月25日より全国ロードショー
監督: 大友啓史
原作: 和月伸宏
『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(集英社刊)
出演: 佐藤健、武井咲、吉川晃司、蒼井優、青木崇高、綾野剛、須藤元気、田中偉登、奥田瑛二、江口洋介、香川照之
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会


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