その一方で、女性誌を見てみると、これがもう驚くほど現状肯定及び自己礼賛のもとに特集が組まれていることが多い。

「キャリア・ウーマンは素晴らしい」「シングルマザーはかっこいい」「これからは主婦の時代」などと、様々な環境に生きる女性たちの現状をお得意の美辞麗句を駆使して肯定し、すべての女性たちの自己愛を満たそうとしている印象がある。

男性誌のように「主婦なんかやってらんねー! 」などと特集したら、女性の共感は得られないのだろう。

女性は皆一様に素晴らしくなくては困るのだ(たぶんですよ)。

だからこそ、「嫁」や「家内」といった言葉の印象は男と女によって大きく異なるのだろう。

現状卑下を好む男性は夫婦全体を謙遜する言葉として使っているつもり、極端に言えば本心ではないジョークなのだが、そのジョークは自己礼賛を好む(?)女性には通じにくく、彼女たちはそれをストレートに受け取ってしまう。

その結果が、前述した「上から目線」になるわけだ。

正直、「真面目か! 」とツッコミたくなる。

かくして、最近そんな男女の認識差をも埋める理想的な「妻」の別称に気づいた。

それは「カミさん」である。

これなら妻のことを目上の人として扱っているため、女性も悪い気はしないかもしれない。

また、別にかっこいい表現でもないため(というか、古くさい表現のため)、僕自身が変なナルシシズムを感じて、恥ずかしくなることもないだろう。

よって最近の僕は、いつかチーのことを人前では「カミさん」と呼べるようになろうとひそかに計画している。

その古くささをチーが嫌がるかもしれないけど。