「ロンドン五輪でちょっと残念だったのは、なでしこジャパン。表彰台でのあの振る舞いは画龍点睛を欠きましたね。FIFAのブラッター会長からメダルをかけてもらいながら、観客とかテレビカメラのほうばかり向いて、Vサインをしていた選手が何人かいました。無視された会長さんも困惑気味な表情をされていましたよ」

自他ともに認めるスポーツウォッチャーでもある麗人・美輪明宏さんが、今回のロンドン五輪を独自の視点から総括してくれた。そこで飛び出したのが、女子サッカー・なでしこジャパンについての話だった。

「メダルをかけてくれる人に対して、礼も尽くさない態度。私はあれを見た瞬間に”なでしこ”という名前にふさわしくないと思いました。世界中に日本の軽さをさらしたのですから。”大和撫子”というのは、礼節をわきまえ、おごらず、引っ込みすぎず、出すぎず、謙虚でたしなみがある女性のことです。そして優しさや思いやりがあり、それでいて芯の強さを持った女性が、大和撫子を名乗れるのです」

勝負のときまでは強い絆で結ばれた女の友情、チーム愛が素晴らしかったのに、一部の選手があの表彰式で光に陰を落とした、と美輪さんは言う。

「国際大会に出るときは技術とか相手を研究する、勝ち負けも大事です。ただし、そればっかりではダメなのです。礼節を重んじることが、日本人が尊敬される所以であり、それさえあれば、たとえ負けてもみっともなくない」

そういう点で、美輪さんは澤穂希選手を偉いと思ったという。

「銀メダルを首にかけてもらうときも、ちゃんと会長さんの顔を見てニッコリ笑いながら”サンキュー”と言っていました。また決勝戦の試合終了後も、買ったアメリカの選手のところに行って、祝福の挨拶をしていました。つまり、何をするにもしても礼節が大事だということです」