残暑厳しい夏、体中から流れ出る汗が気になる男性も多いはず。そんな中、「男性専用シャンプー」の売り上げが好調だ。街中のドラッグストアでは専用コーナーを設けるところが多く、著名タレントを起用した派手な商品広告も相まって注目度の高さがうかがえる。

 市場調査会社の富士経済によると、メンズシャンプー・リンス市場は2011年の販売額で122億円。2008年の76億円から右肩上がりに伸びている。同社では今年も128億円の市場規模を見込んでいるという。

「かつては女性用のシャンプーに比べて商品数が少なく、リンスやトリートメントの品ぞろえもフケ・かゆみ、爽快感といった訴求が中心だったため、市場規模は100億円に満たない状態が続いていました。それが10〜20代を中心にフェイシャルケアを中心とするメンズコスメティックス需要の開拓が進んだ影響で、シャンプーやリンスの品揃えも強化されるようになりました」(富士経済の研究員)

 市場の拡大要因はそれだけではない。2005年に男性用シャンプーで育毛を訴求した「スカルプD」(アンファー)が登場して大ヒット。それまで育毛剤にあった機能需要を手軽なシャンプーに拡げることで市場全体を押し上げたのである。

 化粧品業界関係者やドラッグストアによるヒアリングをもとに、男性シャンプーの「2011年売れ筋(販売実績)ベスト5」を挙げてみても、いかに育毛訴求の商品が多いかが分かるはず。(%は推定シェア)

1位 スカルプD(アンファー)34%
2位 サンスタートニック(サンスター)20%
3位 サクセス(花王)7%
4位 プレリアップ(大正製薬)8%
5位 薬用毛髪力(ライオン)5%

 2位の「サンスタートニック」以外はすべて育毛シャンプーである。いまのところ首位の「スカルプD」は3年連続で男性シャンプーシェアを独走中だが、2011年は競合となる新商品が続々と発売されたため、“スカルプD包囲網”は徐々に狭まりつつある。

「浅野忠信や豊川悦司、松田龍平など俳優陣をCMに起用した『リガオス 薬用スカルプケア』(ラボーテ・ジャポン)や、『UL・OS(ウル・オス)薬用スカルプシャンプー』(大塚製薬)など中高年男性向けに頭皮の育毛環境を整えるシャンプーが相次ぎ登場したことで、どの商品もリピーターを確保するのが難しくなってきました」(業界紙記者)

 競合が増える中、「スカルプD」は2011年5月に価格の見直しを行った。発売当初は4000円台の高価格だった商品を3000円台まで引き下げてリピーターの囲い込みやさらなる新規顧客の獲得に余念がない。しかし、ライバルの「UL・OS」は発売当初から1575円〜と、ほぼ半額の価格を強みに売り上げを伸ばしている模様で、育毛シャンプー市場は今後も低価格化に向かうものと見られている。

 前出の富士経済・研究員も生き残りのカギは価格設定だと話す。

「頭皮の洗浄力や爽快感といった使い心地の追求も必要ですが、シャンプーは日常生活で欠かせない商品で使用量も多い。1000円を超えると継続して買おうという層も限られてくるでしょう。今後はたとえ高い商品でも増量したり詰め替えパックを低価格にしたりするなど、“値ごろ感”を出さなければ淘汰されていくと思います」