【連載:シネマ守銭奴】『籠の中の乙女』の見どころ(銭どころ) クレジット:死後

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誰が言い出したか分かりませんが、育児を率先して行なう父親を称して「育メン」などと呼ぶそうです。あまり浸透しないまま廃れそうな言葉ですが、今回とりあげる映画は、ある意味「究極の育メン映画」と言えるかもしれません。

「育メンも度を越すとただの外道になるよ」という事をこの映画は伝えてくれます。なので、現在子育て奮闘中のお父さんや、これから父親になる予定の男性は、反面教師としてこの映画をみてみるのも良いかもしれません。。

「オシャレな映像にだまされて・・・ -800円」
いきなりマイナススタートですが、この映画は、内容のエグさに反して映像がとても洒落ています。なんというかキューピーマヨネーズのCMみたいな、とでも言いましょうか、爽やかで透明感のあるオシャレ映像です。なので「ははーん、オシャレ系インディーズ映画ね」とタカをくくって観はじめるのですが、唐突にギョッとするような展開がぶっこまれてくるので面食らいます。「無印良品と思って入った店が秘宝館だった」そんな感じです(ちょっと違います)

「よく分からん -500円」
映画は大きく分けて「分かりやすい映画」と「分かりづらい映画」の二種類ありますが、本作は圧倒的に後者です。「これはどういうことかしら?」というシーンが次々と出てきては、それが解消されぬまま頭の中が「?」でいっぱいになります。しかも全体的に静かなトーンで淡々と話が進んでゆくので、いろいろな疑問もなんかどうでも良くなってきます。ラストはラストで「客に解釈ゆだね過ぎ!」とシュプレヒコールをあげてしまいそうになるくらい投げっぱなしなエンディングで、結果われわれ観客の心に残るのは混沌です。そういう映画が好きな人にはお勧めですが、デートで観るにはけっこうリスキーかもしれません。

「世にも珍妙なダンスに 3,000円!」
映画の終盤、二人の娘が親の前でダンスを披露するシーンがあるのですが、これがまあなんとも珍妙な動きで、それまでわりと途方に暮れつつ観ていたのですが、このダンスには思わず目が釘付けになってしまいました。正直この映画を二度観る元気はありませんが、この珍妙なダンスだけはもう一度銭を払ってでも見返してみたくなりました。それくらい印象的なシーンです。

そんなわけで今回の『籠の中の乙女』、1,700円の価値あり!
(但し、猫好きの人にはマイナス5万円のシーンもあるので要注意)

なにかとストレスの多い映画ですが、この作品は家でDVDで観るより、映画館という閉ざされた場所(籠の中)で観たほうが、より作品とシンクロした映画体験が出来るのではと思います。





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「籠の中の乙女」(原題:DOGTOOTH(KYNODONTAS))
ストーリー:汚らわしい外の世界から守るため、家から一歩も外に出されず育てられた子供たち。かれらは奇妙なルールと知らずにすくすくと成長していくが、そんなある日、父親が年頃の長男のために外の世界から一人の女性を連れてくると思わぬ亀裂が生じ始める。
監督: ヨルゴス・ランティモス
キャスト: クリストス・ステルギオグル、ミシェル・バレイ 他
上映時間: 96分
8月18日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!!
2009年/ギリシャ

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死後
イラストレーター。1977年生まれ、愛知県出身、東京在住。蟹座。 「死後」という使いづらいペンネーム且つ節操のない画風で、雑誌、書籍、CD、web等、様々な媒体で活動中。
主な仕事・・・NHK「おやすみ日本」眠いい昔話コーナー/CD『ほーひ』mmm/書籍『コケはともだち』藤井久子著/雑誌anan、BRUTUS他  ホームページ