■2012J1第22節 札幌×神戸 西村雄一審判団評:5

近年見たJの試合の中では、間違いなく最高レベルのレフェリングでした。

ロンドンから帰ってきて最初のJの試合でしたが、ジャッジの精度もさることながら、それ以上にゲームコントロールの面がとにかく素晴らしかったです。

例えば、ハモンのファウルを受けた大久保が苛立つシーンが前半に2回(10分、42分頃)あったのですが、早めの介入で荒れる芽を摘みました(1回目は神戸のアドバンテージ→プレーオンになったので、ボールも見つつ2人を制する珍しい対応でした)。

札幌に新外国人が3人いるのを意識してかは分かりませんが、ハモンへのコンタクトをノーファウルで流した際にも「ボールに行ってるよ」というような、テレビで見ていても分かる明確なジェスチャーが見られました。

ジャッジの精度という点でも、39分頃に砂川がややオーバーに倒れたプレー(足にもボールにも行っていたので、この日の基準ならノーファウルの印象)でも影響されずに流すなど、最後まで高いレベルでした(※砂川は安全のためということもあると思いますが、ジャンプするように倒れる癖があるので、それを知っていたかもしれません)。

それでも、59分の内村がオフサイドが取られた(※笛が鳴った後、不満そうな素振りでシュートと言うよりはボールを蹴りだした形になり、内村に警告。バック側副審は間島宗一氏)のはオフサイドではない気もしましたが、全体的に見事なレフェリングが続いたので、そういう微妙なプレーでの笛もあまり気になりませんでした。


神戸側から見ると、65分の札幌PK(浮き球に抜け出しかけたハモンを、茂木が後ろから腰で当たってハモンが倒れたところで笛、茂木には警告)も受け入れざるを得ないでしょうか(取らないレフェリーもいるかもしれませんが、ファウル→PKで妥当と思います。また、ハモンがPKを蹴る前に警告を受けたのですが、異議なのか何なのかは分からずでした)。

最後まで落ちないフィジカルも見事です。神戸が再度リードを奪い、札幌の攻勢をしのいでカウンターを仕掛ける場面でも、気が付いたらエリア近くの争点にいました。

90分通してぶれない基準、荒れる芽を摘む早めの介入、視野の広さで選手に「見ていますよ」という安心感を与えるようなレフェリングと、仮に各項目ごとの採点があったとしてもどれも高得点を出すようなパフォーマンスだったと思います。

TEXT by:KATE

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