福岡俊弘(ふくおか・としひろ)  1957年生。89年アスキー入社。92年よりパソコン情報誌『EYE・COM』編集長。97 年より『週刊アスキー』編集長。ほかに2つの雑誌の創刊にも携わる。TBSラジオ 『デジ虫』のパーソナリティー、『森本毅郎のスタンバイ』コメンテーターを各3年務めるなど、ラジオパーソナリティーとしての顔も。2011年には、初音ミク初めての海外コンサートとなる『MIKUNOPOLIS』の運営ディレクターを務める。 現在、株式会社アスキー・メディアワークスCGM編集部部長。

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「日本はものづくりの国といわれているが、実はもの“づかい”の国なのではないか」と福岡俊弘氏は指摘する。たしかに、ツイッターを大喜利に使うなど開発者が想定しないような使い方をするのが長けているのは日本のユーザーの特徴といえそうだ。
また、古くは浄瑠璃や歌舞伎から現代ではボーカロイドの初音ミクにいたるまで、日本の芸能は「掛け合い」を通じて生み出された二次創作によってクオリティが高められてきたことは、前回お届けした対談前編でも指摘したとおりである。
さてそんな折、最近ネットを中心に「ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)」についての議論がにわかに熱を帯びている。ヨーロッパでは表現の自由を侵害する恐れがあるとして約250万人のデモが起こり否決されたこの協定だが、日本では法案の一部が今年7月31日に参議院委員会等で可決した。行きすぎた監視が日本の「創作の連鎖」に負の影響を及ぼさないとよいのだが……。

初音ミクが歌って「くれる」という発想

武田:初音ミクは歌手といっても、それ自体はプログラムなわけですから、そもそも元になっている人間の声があるんですよね。

福岡:はい。藤田咲さんという声優さんの音声をデータにして使っています。だから、声優・藤田咲のボーカロイドとして出してもよかったんです。そこをあえて「初音ミク」という仮想のキャラクターを設定した。そして、パッケージには「歌詞とメロディーを入力すると、初音ミクが歌ってくれます」という趣旨のことを書いたんです。

 普通に考えたら「初音ミクに歌わせることができます」、でしょう? 西洋人だったら絶対 “You make〜” としますよ。「初音ミクをして、◯◯を歌わせることができる」です。でも日本人は「歌ってくれる」という発想なんです。

武田:なるほど。主役が初音ミクなんですね。

福岡:そうです。この表現が、強烈な印象を与えたと思いますよ。「歌ってくれるんだ!」って。

武田:大規模なライブも開催されていますよね。ロサンゼルスの「アニメエキスポ2011」で行われたコンサート「MIKUNOPOLIS in Los Angeles」では、5000人以上が集まったと聞きました。

福岡:ライブっていっても、初音ミクはホログラム映像なんですけどね(笑)。

 3月9日に行った「ミクの日♫ 大感謝祭」っていうイベントで、実は途中で映像が止まるというアクシデントがあったんです。曲はかかっているんだけど、ミクの歌声と映像が止まってしまった。

武田:えっ! それ、どうなったんですか?

福岡:当然、客席はざわざわするじゃないですか。何が起こったと思いますか?

武田:うーん、わからないです。

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