芸人として活躍する一方、これまで数々のエッセイ本を出版し、複数の雑誌で連載を持つなど、文筆業でも活躍している光浦靖子さん。そんな光浦さんに、愛読書についてうかがいました。

 「今まで読んだ本の中で面白かったのは、桐野夏生さんの『グロテスク』がダントツですね。それから角田光代さんの『八日目の蝉』。これが二大巨頭。『グロテスク』は意地が悪すぎて爆笑して読みました。『八日目の蝉』は、もうとにかく泣けて泣けて。私最近、性欲より母性の方が強くなってきているので」(光浦さん)

 特に『グロテスク』は芸人としての「笑い」にも影響を与えたといいます。

 「本の中で、登場人物は同じ時間をすごして同じ出来事を経験しているのに、それぞれがそれぞれの目線で自分を正当化するんです。『私は冷静だし、あの子のことを憎んでいるわけじゃないけど、あの子ってそういう悪いところあるよね』的な書き方をするんですよ。いわゆる実際の生活と同じ悪口の言い方を、もっとデフォルメしていて。その悪口を言う様子が、ダムがぐあーっと決壊するような、すごい水圧でくるんですよ。そんなところから『ものごとは突き抜けると笑える』っていうことで影響を受けました」

 しかし意外なことに、そうした好きな女性作家の対談やエッセイはほとんど読まないそうです。

 「好きな作家さんの対談とかエッセイとかは読まないんです。読んだら面白いと思うんですけど、あまり知らないでおきたいんですね。写真で顔は見たいと思ったり、どういう性格かっていうのを想像するのは良いんですけど、どういう人とか、パーソナリティを知らないほうが小説は面白いなと。芸人さんがドラマに出ているとドラマに集中できないみたいなもんですよ。知っている人が出ていると『知ってる人がいい芝居してる!』とか思っちゃってちょっとさめちゃうんですね。それに近いのかなぁ」

 本のジャンルは小説がメインで、最近はもっぱら女性作家さんの作品を読むことが多いという光浦さん。「こんなこと言ったら元も子もないんだけど......」とその理由を明かしてくれました。

 「小説って細かい情景描写をしたり、人の心理の細かい部分を読むじゃないですか。だから小説は面白いんですけど、あるとき、『でも男の人がこんなに細かいこと考えてるんだ』って思っちゃったんですよ。『うわ! 細かいこの男の人! やだぁ』って思っちゃって。そこから男の作家さんの作品はあまり読まなくなっちゃって。あと、女の人の方が損得勘定の感覚とかが近いから、共感が多いのかなぁ」

 次回はそんな光浦さんの幼少期の読書体験についてうかがいます。お楽しみに!

<プロフィール>
光浦靖子(みつうらやすこ)
1971年、愛知県生まれ。1992年、大久保佳代子とお笑いコンビ「オアシズ」を結成。フジテレビ系バラエティ番組「めちゃ2イケてるッ!」で有名になり、その後も数多くのバラエティ番組に出演している。またエッセイも多数執筆しており、2012年5月には自身初となる手芸本『男子がもらって困るブローチ集』を出版した。



『本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)』
 著者:成毛 眞
 出版社:三笠書房
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