CRO編

業界トレンドNEWS Vol.142

CRO編

医薬品開発に欠かせない成長業界の今後の注目ポイントは?


■医薬品開発競争の激化で、ニーズ急増の業界。今後は海外対応力の有無が業績の鍵を握る

CROとは、ContractResearchOrganization、またはClinicalResearchOrganizationの略。医薬品メーカーから依頼を受け、開発業務の一部を受託する「受託臨床試験機関(企業)」を指す。病院などの医療機関で実施される臨床試験の監視や、集まったデータの集計・分析などを通じて医薬品メーカーを支援するのが役割。欧米では、1970年代から始まった業態で、日本では1997年に「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」が改定(いわゆる「新GCP=GoodClinicalPractice」)され、法的に認められる存在となった。

現在日本には、クインタイルズ、シミック、イーピーエスといった企業を筆頭に、約30社のCROがあるといわれる。日本CRO協会によれば、2011年における同協会会員企業の総売上高は1192億円。07年(総売上高955億円)に比べて約25パーセント増加した。なお、CROの業務は、CRA(下表参照)などのスタッフをメーカーに派遣する「派遣型」と、自社で業務を行う「受託型」とに大別される。

医薬品の開発は、「基礎研究(およそ2〜3年かかる。以下同)」→「非臨床試験(3〜5年)」→「臨床試験(3〜7年)」→「承認審査」→「製造販売後調査(製造から4〜10年)」という流れで進められる。基礎研究から販売まで、通常、8〜15年かかるのだ。しかし、ファイザー、ノバルティス、ロシュ、グラクソ・スミスクラインといった世界的企業はもちろん、武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共などの国内企業らによる競争が激化している医薬品業界では、開発が長期化するとライバルに遅れを取ってしまう危険性が高い。一方、臨床試験は「国際共同治験」(評価項目などを日本・米国・欧州などで共通化し、世界各地で同時に臨床試験を行うこと)が増えてグローバル化が進んでいる。そのため、創薬は大規模化・複雑化する一方だ。こうした中、医薬品メーカーは開発のスピードアップ・効率化を目指し、高い専門性を生かして効率よく開発プロセスを進められるCROへの業務委託を進めている。

業界が発足した当初から、順調に成長を重ねてきたCRO業界。しかし、ここ数年は規模の拡大とともに、成長にややかげりが見え始めている。そこで各社は、「モニタリング」「データマネジメント」「メディカルライティング」(下表参照)といった複数の業務を展開し、事業リスクの分散を図っている。また、スタッフの稼働率を高いレベルで維持したり、効率的なスキルアップの方法を模索したりすることも追求中だ。

さらなる需要掘り起こしのため、今後は海外対応力の有無も問われそう。前述の通り、国際共同治験の件数は増えており、この分野への取り組みが各社の成長の鍵となるだろう。また日本CRO協会によると、11年時点で、会員企業の総売上高に占める外資系企業の割合は35パーセント。これは、07年(26パーセント)に比べて9ポイントも高い。今後も外資系顧客と協力して業務に取り組む機会は多いと思われるため、グローバル人材がより求められる可能性もあるだろう。