ラップとティッシュの意外な共通点






食品を電子レンジで温める際に重宝する「食品包装用ラップフィルム」、そして花粉症や風邪の時に活躍する「ティッシュペーパー」。



この2つは、どちらも薄い形状をした日用品ですが、その使い道や素材はまったく異なります。しかし、それらの誕生秘話には意外な共通点があるのです。



そこで今回は、この2つの意外な共通点についてご紹介したいと思います。





■ ラップフィルムの豆知識

そもそも、「食品包装用ラップフィルム」は何から作られているのでしょうか。



メーカーによって違いはありますが、現在主流となっているのは「ポリエチレン」や「ポリ塩化ビニリデン」という素材です。

これらの素材は一般的に酸やアルカリに強く、また熱にも比較的強いため、食品を保存するのにも向いています。



ただし、経験した方も多いと思いますが、油を多く含む食品を電子レンジ等で温める際には、油が高温になり、ラップが溶けてしまうことがありますので注意が必要ですね。



ちなみに、食品包装用ラップフィルムを代表する「サランラップ」ですが、これはアメリカのダウケミカル社と旭化成ケミカルズ社が共有する登録商標です。



■ ティッシュペーパーの豆知識

ティッシュとは元々フランス語で「織物」を意味しています。



これは、ティッシュが織物のように編みこまれているから…ではありません。



もともと「ゴールドティッシュ」と呼ばれる金の糸を使った織物(布)を重ねる際、布と布の間に薄い紙をはさみ込んでおり、その紙のことを「ティッシュペーパー」と呼んだことから名付けられました。



ところで、多くのティッシュペーパーが2枚1組になっているのはなぜでしょう。



日本製紙クレシア社によると、1枚のティッシュペーパーは、習字の半紙のように滑らかで肌触りの良いオモテ面とざらざらしたウラ面からできているため、ウラ面同士を合わせることで、どちらの面も肌触り良く使えるように工夫しているとのことです。



■ ラップとティッシュの誕生秘話

ここまで、「食品包装用ラップフィルム」と「ティッシュペーパー」に関するちょっとした豆知識をご紹介してきましたが、この2つが誕生した背景には意外な共通点があることをご存知でしょうか。



実は、ラップとティッシュは最初どちらも軍事目的で使われていました。



まず、現在は食品包装に使われている「ラップフィルム」。



こちらは、もともと第二次世界大戦中に弾薬や銃を湿気から守るために開発されたもので、兵士の靴の中敷きや、蚊帳の代わりとしても重宝されていました。



先ほど、「サランラップ」は登録商標だとご説明しましたが、この「サラン」というのは、ダウケミカル社の開発者の妻2人の名前である「サラ」と「アン」が由来となっています。



2人がピクニックに出かけたとき、たまたまレタスをラップで包んで持っていったところ、レタスの鮮度が保たれたというエピソードがきっかけとなり、食品を包む目的で使われるようになりました。



次に、「ティッシュペーパー」ですが、こちらの誕生はさらに歴史が深く、第一次世界大戦中。



戦争により不足していた脱脂綿の代わりとして開発されたもので、当時は「セルコットン」と呼ばれていました。

その後、吸収力の良さが評価され、兵士のガスマスク用フィルターとしても利用されるようになります。



戦後になると、それらが大量に在庫として残ってしまったため、アメリカのキンバリー・クラーク社がメイク落とし用に「クリネックスティッシュ」として発売したのが、現在のティッシュペーパーの始まりとなっています。



■ まとめ

今回は、「食品包装用ラップフィルム」と「ティッシュペーパー」についての豆知識と、それぞれの起源をご紹介してきました。



私たちが日ごろ生活していくうえで無くてはならないこれらの日用品が、もともとは軍事利用を目的として開発されたものだったなんて実に意外ですね。





(文/寺澤光芳)



■著者プロフィール

寺澤光芳。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。