僕は、モンゴル人も名古屋人と同じく、隣の大国など歯牙にもかけず、自分たちが一番だと思っているに違いないと推測するのだ。

名古屋人は今なお毎秋の「名古屋まつり」では三英傑のパレードを行い、「名古屋おもてなし武将隊」というイケメン武将隊までつくって観光PRしている。

武将隊はこの3人のほかに前田利家や加藤清正、前田慶次といったサブキャラの武将まで肩を並べ、地元っ子には大人気である。

名古屋がなかったら、大阪(秀吉)も東京(家康)もなかったともいえる。

そんな過去の栄光に根ざした自己陶酔が、名古屋人の心理には深く刻み込まれている(秀吉も家康も、最後はあっけなく名古屋を捨て、ほかに都を作ったという歴史上の事実は、ここでは無意識下になかったことにしている)。

名古屋人のプライド高さ。

おそらくこのあたりに根拠があると推察される。

関東と関西にサンドイッチのように挟まれて、「中部地方」と呼ばれている名古屋人の心理は、実に複雑でセンシティブだ。

「中部地方」。

誇りと自己愛が見事にブレンドしている名古屋人の心情を、これほどくすぐるコトバはないだろう。

「何たって日本の真ん中、中心だぜ。

セントラルジャパンさ」という声なき声が名古屋生まれ、名古屋育ちの僕には聞こえるのだ。

夜、車を運転していると、名古屋のローカルラジオ局からこんなフレーズが聞こえてくることがある。

「今、歴史の街としても新たに注目を浴びる日本のど真ん中・名古屋から、女子大生たちがご当地ならではの情報を発信します。

今回は、信長、秀吉、家康の三英傑を生んだこの地ならではの歴史特集! 音楽情報も盛り込んだ、あっという間の一時間です!」そう。

僕ら名古屋人に言わせてもらうと、「名古屋は関東か関西か?」という質問自体が愚問なのだ。

だって、名古屋は名古屋でしかないのだから。

名古屋はいつだって、オンリーワンかつナンバーワン。

日本の歴史を動かしてきた名将たちの血を引く誇り高き僕らは、これからも胸を張ってそう主張し続けていくのだ。