営業として周囲を巻き込み、チームで実現していく喜び

ビジネスパーソン研究FILE Vol.181

日本ユニシス株式会社 亀井彬さん

入社後、SEとしてのスキルを身につけ、現在営業担当として活躍中の亀井さん


■SEとしてパッケージ商品のプログラミングを担当。2つの失敗で仕事への姿勢が変わった

亀井さんが営業職を目指したのは、「多くの人と接する仕事で、人間的に成長していきたい」と考えたから。IT業界を選んだのも、「商品を売って終わりではなく、お客さまと長く関係性を築いていける」と感じたことが大きかったという。

入社後、半年間の集合研修を受けた亀井さんは、ビジネスマナーやロジカルシンキングなどの社会人としてのスキルから、ITの基礎やプログラミングまで、みっちりと学んだ。文系出身のため、ITについての知識はほぼなかったが、じっくり身につけていくことができたという。
「会社から給料をもらいながら勉強させてもらっている状況だったので、その分早く身につけねばという緊張感と焦りがありましたね。半年間という長い研修期間のおかげで同期と楽しみながら、みっちり学ぶことができました」

研修期間の後は、SE(システムエンジニア)としてリース業界向け基幹システムのパッケージ商品を販売する部署に配属。当時の制度では営業職志望者でも、研修後には現場でSEとして2年間半のOJT研修を受ける仕組みだったが、亀井さんはむしろ楽しみにしていたと話す。
「入社前から現場の経験が必要だと思っていましたし、システムがどうつくられるかをしっかり体験しておきたかったんです。けれど、新人研修であれだけじっくり学んだのに、実際に現場に出たら知らない言葉だらけで、打ち合わせに参加しても何を言っているのかさっぱりわからない。IT用語はもちろん、業界用語に社内特有の用語まであり、当たり前のように先輩や上司が使っている言葉がわからない自分に落ち込みましたね。わからない言葉はネットで調べたり、先輩に聞いたり、とにかくコツコツと努力を積み重ねていきました」

亀井さんはシステムの不具合修正や機能強化のカスタマイズなどのプログラミングを担当し、細かな案件を数多くこなしていったという。
「トレーナーの先輩に教えてもらいながら、設計書に沿ったプログラミングをしていきました。つくってはテストし、リリースするという流れを経験するうち、自分の手がけたプログラムが正しく動くという成果に、喜びを感じるようになっていきましたね。まっさらなところからつくったプログラムが動いた瞬間、『やればできるんだ!』という達成感を得ることができました」

案件にかかる期間は、短いもので1カ月、長いものでは4〜5カ月。次第に仕事に慣れていく亀井さんだったが、ある時、大きな失敗を経験する。
「1カ月でつくらねばならないプログラムがあったんですが、わからないことがあったのに、『できます』『大丈夫です』と言ってしまい、1人で抱え込んでしまったんです。『小さい部分がわからないだけだから』と考え、後回しにした結果、1カ月半もかかってしまって。上司には『なぜ報告しなかったのか』と叱られましたし、先輩にも『新人のうちはできなくて当たり前。抱え込まずに相談してほしい』と諭されました。新人の自分にとって、考えてわかることなんて知れているもの。最初の時点でちゃんと相談しておけば、期限を過ぎることもなかったはずだと痛感しました。何事も後回しにすることが一番危ないと気づき、小さなことでも何か問題があれば、なるべくその場で解決していくようになりましたね」

入社2年目になると、亀井さんはリース業界向け基幹システム内の特定の機能開発を任せてもらえるようになる。ベースとなる設計書をもとに、具体的にプログラミングするための設計をつくっていくところまで手がけることになったのだ。
「お客さまが使いやすいよう、足りない部分を補うようなカスタマイズの部分を任せてもらいました。パッケージシステムとはいえ、会社さまごとに、必要となる機能、ご要望はさまざま。帳票や見積書のレイアウトを各社の書式に合わせたり、見積書の計算式もそれぞれに合わせてカスタマイズするなどを担当していきました」

しかし、お客さまの業務について理解していなければ、本当に使いやすいものをつくることなどできないもの。当初、亀井さんはベースとなる設計書通りに開発を進めたが、先輩から『できたものがお客さまのニーズに合っていない』という指摘を受けてしまう。
「言われたことをそのままやっていただけで、それ以上のことを考えていなかったと気づきました。例えば、見積金額の計算式ひとつでも、設計書の上で式を見ているだけでは、それが何に使われ、業務上でどんな意味を持っているのかはわからない。一つひとつ、何を目的に使われるのかまで理解していなければ、本当にニーズに合ったものはできません。この時以来、お客さまが日ごろ、どんな業務を手がけているかを理解することが大前提だと考えるようになりました。ひとつ成長した時期だったと思いますね」


■入社3年目で営業として流通部門に配属。チームで仕事を生み出すやりがいを実感!

着実に成長を続ける亀井さんは、入社3年目のころに、部署内の後輩や同期を集めて業界知識の勉強会を開催することに。
「上司から『勉強会をやってみたら』と声をかけられたことをきっかけに、定期的に勉強会を開くことにしました。業界の知識を深めようという目的で、見積もり出しから契約、支払いなど、リース契約の一連の流れについて学ぶことにしたんです。最初は自分が講師となったので、事前にリース業界についての本を読んだり、業界知識にくわしいSEの先輩に『こんなケースでは、どんなことが起きるか』などの質問をぶつけたり、より深く勉強していきました。人に教えることで、自分が理解できていなかった部分にも気づくことができましたね」

この勉強会は、参加者が講師を持ち回る形式で20回以上も開催したが、後輩が自分の知らないことまで理解している姿を見たことで、『自分ももっと頑張ろう!』という刺激を受けられたという。
「業界知識がより深まったおかげで、それを自分の仕事にも生かせるようになりました。パッケージ商品だけでなく、自社のほかの商品と組み合わせたシステムを構築する案件に参画するなど、自分なりに工夫していく面白さを感じるようになりましたね。ですが、社内での開発作業が中心だったため、もっとお客さまの近くで仕事したいという思いも次第に強くなっていきました」

入社3年目の秋、亀井さんは営業部門への異動希望を出し、流通事業部のリテイルプロジェクト部門に配属される。スーパーなどの小売業のお客さまを5〜6社担当し、業務改善に役立つ商品提案を手がけていくことに。
「流通業界は、フェイスブックやツイッターなどを使う新たな取り組みにも素早くチャレンジしていくスピード感があります。『最新の取り組みを提案していけるはず!』と感じ、自らこの部署を希望しました。現在、週の半分はお客さまを訪ね、ヒアリングや提案、商談などをしています。担当するお客さまからの要望に応えるケースもあれば、自ら先回りして提案していくことも。いずれにしてもお客さまの話を聞き、どこに改善点が眠っているかをじっくり引き出すことから始まります。SEとはまた違う、現場でお客さまの声を直接聞ける面白さを感じていますね」

配属から半年もたたないうちに、初の契約も獲得。ある小売業のお客さまから、売り上げ情報などを可視化するビジネスツールを求められ、社内のSEと一緒に商品提案のデモンストレーションを行ったところ、トントン拍子で契約が取れたという。
「提案の前には、社内のSEや営業の先輩と打ち合わせし、どんなアプローチをするべきか、どこに強みを持たせ、どんなことを実現していくかなど、案件の骨組みとゴールを一緒に考えていきました。いろんな人の意見やアドバイスがあってこそ、契約が取れたと感じます。自分1人では成し得ないことを、チームで力を合わせて実現していく醍醐味を味わいましたね!」

現在、さまざまな案件を勧めている最中の亀井さん。営業の仕事の難しさと面白さは、表裏一体だと語る。
「営業は、お客さまはもちろん、社内のSEなど、周囲の人を巻き込んで動かしていかねばなりません。自分で考えて行動を起こし、多くの人の意見を聞いて理解して集約したうえで、自分なりの明確な方向性を持たせ、ひとつの仕事をつくっていかなくてはならない。そこに難しさや責任の重さを感じますが、その一方、すべてを自分でコントロールできるという面白さを強く感じていますね。お客さまに近い立場で、『こんな要望があるから、こういう仕組みにしよう』『こんなアプローチをしよう』など、自分で考えて行動に移せますし、可能性は無限にありますから!」

今後の目標は、「会社」としてだけではなく、「個人」として求められるような仕事をしていくことだという。
「お客さまはもちろん、社内においても『亀井と仕事がしたい』と言ってもらえるような存在を目指したいと思います。そのためにも、社内でも社外でもどんどんコミュニケーションを取り、相手の考えや状況を理解する努力を重ねていきたいですね」