『BUTTER!!!』ヤマシタトモコ(講談社)

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 日本人バレエダンサーが世界で活躍し、音楽界ではダンスユニットが全盛。ダンスは今、最も注目されるカルチャーの一つだ。そしてマンガ界にも、今、多くのダンスマンガが誕生している。ダ・ヴィンチ9月号では、今注目のダンスマンガを特集。その人気は男性マンガにも波及しているのだ。高校の社交ダンス部を描いたヤマシタトモコの『BUTTER!!!』(講談社)はその代表例。

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 ダンスマンガの魅力の一つは、主人公たちが積む厳しい鍛錬の過程にあるが、その終着点として彼らは何を表現するのか。それは自分自身、自分という人間ではないか。ダンスに向き合う彼らの姿は、彼らの人生そのものなのだ。

 堪え難い困難や不幸を克服し、さらにパワーに変える。『ボールルームへようこそ』(竹内 友/講談社)の多々良は、自分に自信がなかったからこそ社交ダンスに誠実な情熱を注げた。『MOON』(曽田正人/小学館)の昴は、双子の弟を病で失った過去と母との葛藤と闘いながら、クラシックバレエという芸術に挑んだ。

 困難に直面しても大切な何かがあれば、きっと前に進める。生きる勇気を、ダンスマンガは私たちに教えてくれるのだ。

 また、ダンサーの人生を描く上で最も重要な要素は、やはり成長物語と恋愛だろう。
山岸凉子の『舞姫 テレプシコーラ』(メディアファクトリー)は、クラシックバレエをテーマにした成長物語の傑作。主人公・六花の小学生時代から、ローザンヌ国際バレエコンクールに出場するまでを丁寧に描いている。レッスンの過程、バレエ教室やコンクールの実情なども詳細に描写され、業界もの的な面白さも興味深い。一風変わった題材としては、男子チアリーディング部の物語『チア男子!!』(まつもとあやか/集英社、朝井リョウの同名小説が原作)なども注目だ。

 ダンスに向き合う主人公たちは、その道程でたくさんの大切な人との出会いも経験する。なかでも恋愛は、ダンサーとしての成長とシンクロするように育まれる。

 槇村さとるはフィギュアスケートも積極的に描いており、『愛のアランフェス』(集英社)や『白のファルーカ』(集英社)が代表作。前者はペア、後者はアイスダンスが扱われ、いずれもパートナーとの恋愛がストーリーを引っ張る。秋里和国の『鈴が音のさやさや』(小学館)もバレエ教室の先生と神社の神主の恋を描き、意外な取り合わせが印象的。また、羽海野チカの短編「スピカ」(『スピカ 〜羽海野チカ初期短編集〜』(白泉社)所収)は、バレエに打ち込む少女と野球少年が主人公で、その淡く繊細な恋が心に響く。

 本誌では数々のダンスマンガを名シーンとともに紹介。マンガ家・竹内友のインタビューなども掲載し、ダンスマンガの魅力をたっぷりと伝えている。

取材・文=松井美緒 
(ダ・ヴィンチ9月号「コミック ダ・ヴィンチ ダンスマンガ特集」より)