福島原発周辺のチョウに異常が-琉球大学の研究チームが発表

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ヤマトシジミに突然変異

福島第1原発事故の影響により、福島原発周辺でシジミチョウの一種「ヤマトシジミ」に突然変異をもたらしているとの報告がされた。琉球大学の大瀧丈二准教授らの研究チームが9日、英科学誌「ネイチャー(Nature)」グループの学術専門誌「サイエンティフィック レポート(Scientific Reports)」に発表。

wikipediaより/Kirisame

放射性物質の影響で遺伝子に傷ができ、変異は次世代にも引き継がれているとみられている。報告によると、幼虫の段階で被ばくしたヤマトシジミの12%に、羽が小さかったり、目が陥没していたりする異常が見られた。

研究チームは、研究室でヤマトシジミを飼育し、2世代目の異常率は18%だった。さらに異常があったチョウと健康なチョウと交配したところ、3世代目の異常率は34%に上昇した。

放射能により遺伝子が損傷

福島第1原発事故の6か月後に、研究チームは原発周辺で、新たに240匹のヤマトシジミを採集。そのうち52%に異常があった。

大瀧准教授は、
「福島第1原発から放出された放射能により、ヤマトシジミの遺伝子を損傷したことが証明された」

と語った。大瀧准教授は、沖縄で健康なチョウに弱い放射能をあてて比較テストを行った。結果は、同様の異常が見られたという。

しかし、大瀧准教授は、

「この調査結果は、簡単に他の種や人間に置き換えることはできない」

として、結論を急ぐことに警告を与えている。研究チームは、他の種を用いた研究を計画している。

▼外部リンク

ネイチャー(Nature)のサイト
http://www.nature.com/srep/2012/120809/srep00570.html


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