入居中の賃貸住宅から、退去を言い渡されたらどうする?




賃貸住宅で暮らす知人が、家主から「半年以内に退去してほしい」と通達され、困っています。どのような対処の方法があるのでしょうか。



不動産売買、賃貸住宅の仲介、管理業を営む不動産アドバイザーのKさんに詳しいお話を伺いました。



■貸主側からの賃貸契約解除予告は6カ月以上前に必要



契約書に記述されている内容について、Kさんはこう説明します。



「一般的に、賃貸契約書には『正当事由がある場合、賃貸人(貸主。家主側)は6カ月以上前の予告によって契約を解除できる』ということが明記されています。



しかしながら、『借地借家法』で借り主は居住権が保護されています。貸主(家主)側から、『正当事由』がある場合を除いて、一方的に立ち退きや移転を強要、依頼することはできません」



――正当な事由というのは具体的にどういうことでしょうか。



「社会的見解として、明け渡しが認められることを言います。主に『その家に、自分、もしくは自分の家族が住まざるを得なくなった深刻な事情』、次に、『老朽化による建て替えの必要性、防災上の危険性』などの事例があります。

ただ、『正当事由』の解釈は多様で、訴訟になることもあります」(Kさん)



――金銭的な保障はあるのでしょうか。



「貸主は借り主に、新しい住居を見つける作業、移転にまつわる諸作業、生活全般、勤務先や子どもの学校にかかわることなど、物理的、心理的、社会的に大きな負担、苦痛、迷惑をかけることは明らかです。



社会通念上、『転居にまつわる引越(ひっこし)代などの諸経費』、『転居時に支払う仲介手数料、敷金、礼金、あるいは保証金』、『通知以降の家賃』などが支払われるのが一般的です。

ただ、貸主からの一方的な通知、解約だけで、保障がないケースもよくあると聞きます。

費用や代価の支払いは、当事者同士の話し合いになりますので、注意が必要です。



賃貸住宅の訴訟を多く扱う弁護士の話によると、裁判では、社会通念上の判断で判決が出ることが多いようです」



――退去を通達されたら、どう対応すればいいのでしょうか。



「借り主は予期せぬ契約解除の通知に驚かれると思います。が、賃貸住宅である以上はそういうこともありえます。冷静に、この先どうするべきか、まずは正しい情報を調べるようにしましょう。



――自治体の役所に問い合わせるという方法があると聞きました。



『賃貸住宅において、貸主から退去の依頼があったので相談したい』と言えば、賃貸住宅や不動産関係の相談コーナーや弁護士による法律相談についてアドバイスをしてくれるでしょう。

また、消費生活センターや弁護士事務所を探して相談するということもできます。

インターネットを活用して、情報を集めるなどもしてください」(Kさん)



――トラブルになることはありますか。



「例としては、『貸主側から、正当事由があるので、保障なしでの退去を迫られている』、『貸主側の提示する保障額が不当に低い』、『貸主側が主張する正当事由に、借り主側が納得できない』などです。



訴訟の事例では、貸主側が誠意のない態度であったとき、借り主が感情的になって『もうこんなところ出て行ってやる』と退去した場合、『借り主の意思での退去』とみなされて保障がされないということもあります

合意するまでは、自ら引っ越しをするなど性急な行動をしないようにしましょう」(Kさん)



――よい対応策、交渉法の例があれば教えてください。



「トラブルを避けようという意志を持って、『現在、この家、環境が気に入っています。通勤、通学を含めたここでの生活に慣れ親しんでおり、移転はまったく考えておらず、今はただとまどっています。しかしどうしても移転をしなければならないなら、やむを得ませんので考慮します』といった姿勢で臨むほうが、結果的に保障の話がスムーズに進むでしょう。



注意するべきは、『貸主側の言いなりにならないこと』です。学生や若い一人暮らしの借り主の場合は、情報を知らない、交渉事を避けたがるなどで、一方的に退去を迫られる例があると聞きます。

大学や勤務先のしかるべき部署など、周囲の人に相談して知識を得てください」(Kさん)



まずは冷静になって状況を把握すること、さっさと移転してしまわないこと、そして、客観的な視点で相談に乗ってくれる人や機関を探すことから始めましょう。



(海野愛子/ユンブル)