吉田ユニさんが魅せられた"ホラーマンガの世界"


 きゃりーぱみゅぱみゅが出演したスペースシャワーTVのSTATION IDの監督や野田秀樹演出の舞台「THE BEE」の広告など、さまざまなジャンルで活躍するアートディレクター・吉田ユニさん。ふんわりした雰囲気の彼女は、意外にも幼いころからホラーマンガにハマっていたそう。

 「小学校のときとか、ホラー漫画とかなんかそういうのがすごく好きでしたね。つのだじろうさんや水木しげるさん、楳図かずおさんの漫画とかをよく読んでました。たまたま私が小学生の頃に、「学園七不思議」っていうアニメを夕方にやっていて、それが好きでよく見ていたんです。それでつのださんを知ったのですが、たまたま本屋に行ったら「うしろの百太郎」が売っていて、『これは買わなきゃ!』って。お小遣いもたりないから、一緒にいたお姉ちゃんにお金を借りて(笑)」(吉田ユニ)

 『うしろの百太郎』は、主人公・後一太郎がさまざまな心霊現象に遭い、彼の守護霊である百太郎とともに難を逃れ、解明していく、心霊恐怖マンガ。「そんな未知の世界で、主人公を助ける百太郎が、みんなにとってのウルトラマンのような、ヒーロー的な存在だった」という吉田さんは、それを機に、ホラーマンガの世界に魅せられていったと言います。

 「楳図かずおさんの漫画は一見ホラーっていう感じに思われがちだけど、結構内容とかは、哲学的というか、ホラーを超えたところがあるんです。ただ怖い、脅かして怖がらせるような感じではなくて、ちゃんとストーリーが奥深くあって、そこがすごく好きなところですね。中でも一番好きなのが『赤ん坊少女』という作品なんですが、化け物のような赤ちゃんの姿をした主人公タマミが、一緒に住むことになった中学生の妹の葉子ちゃんをすごくいじめるんですよ。でも、そのなかでタマミが口紅を塗りながら、泣いてるシーンがすごく印象的なんです。本当はすごく綺麗になりたくて、葉子に嫉妬していじめっちゃってるのが伝わってきて、そこがすごく切なくて。そのシーンのタマミの表情にすべてが集約されているんです。」

 楳図かずおさんの作品には、内容以外にももうひとつ惹かれた点があるのだとか。

 「ひとコマひとコマがすごく、芸術というかそのひとコマのクオリティがすごく高くて、それもすごい惹かれたポイントでしたね。子どもの頃から絵を描いたりとか、工作とかも好きだったので、そういう所は見入っちゃいました。自分でもマンガに挑戦したんですけど、同じ人をずっと同じように描き続けるのができなくて断念しちゃいました(笑)」


 4コママンガは、起承転結も構図などもさらに難しいと熱弁を振るう吉田さんにも、仕事でマンガに携わることが。

 「安野モヨコさんのデビュー20周年記念で刊行した『ハッピー・マニア』の装丁を手がけさせていただきました。『ハッピー・マニア』はもうすでに種類がいっぱい出ていて、持っている女の子はたくさんいると思ったので、また揃えたくなる、部屋に置いておきたくなるようにという気持ちと新しく手に取る方にも響くような表紙を、と考えました。本当にバイブルのような革の表紙に金の箔押しにしたいなって思ったんです。でも、本物は使えないので、実際に革に安野さんのイラストを金の箔押しをしたものを写真で撮影し印刷しています。」

 ホラーマンガを皮切りに幼少のころから、マンガに関わってきた吉田さん。次回はアートディレクターとしての仕事と結びつく本との出会いをご紹介します。お楽しみに!




『ケトルVOL.08』
 著者:内田樹,平川克美,佐々木彩夏(ももいろクローバーZ),津田大介,渋谷直角,宇野常寛,大根仁,佐藤優,橋爪大三郎,山形浩生
 出版社:太田出版
 >>元の記事を見る



■ 関連記事
金田康平さん(THEラブ人間) (後編)
金田康平さん(THEラブ人間) (前編)
アノヒトの読書遍歴 北澤"momo"寿志さん(後編)


■配信元
WEB本の雑誌