過ぎゆく夏によく似合う心地よいラブ・ファンタジー ――『夏雪ランデブー』

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フラワーショップの店長である未亡人・島尾六花と、バイトで働く青年・葉月亮介、そして六花の亡き夫・島尾篤の不思議な三角関係を描いた河内遥の『夏雪ランデブー』は、今年アニメ化され、現在フジテレビ系で放送中のラブ・ファンタジー。

物語は六花にひそかに想いを寄せる葉月の前にある日突然、幽霊である篤が姿を現すところから始まります。

右耳が不自由だった篤のためにいつも左側に寄り添っていた六花や、今ドキの男子ながらなかなか素直に自分の気持ちを伝えられない葉月の純情ぶりなど、ささやかなエピソードやディテールが積み重ねられていくことにより、知らず知らずのうちに作品世界に引き込まれていきます。

しかしながら、一重まぶたの”低温系男子”の葉月と、つかみどころのない”リアル低温系男子”(というか幽霊だから当たり前ですね)の篤、彼らが六花をめぐって繰り広げる静かなる争いは、低温どころか熱さ充分。

ま、正確には熱さというよりも、互いに彼女を一途に思うぬくもりが伝わってきて、なんともいい温度のトライアングルなんですよね。

個人的にはショートカットの女性が大好きなので、六花はまさにドンピシャなヒロインということも付け加えさせて下さい(笑)。

ストーリーが大きく動き出すのは篤が葉月の身体に乗り移ってから。

死んでもなお六花のことが気がかりな篤に、つい身体を貸してしまったことで精神世界をさまよう葉月。

このままつきまとっていては彼女のためにならないことが分かっていながらも、自分の気持ちを止められない篤。

そして、ふとしたことから篤が葉月に乗り移ったことを知った六花……それぞれがそれぞれの想いを抱えたまま、物語は一気にクライマックスへ。

最終的にどうなるのかをここで紹介するのはさすがに野暮というもの。

過ぎゆく夏によく似合う、心地よい読後感の残る良作であります。