毎度お馴染とはいえ、やはり一抹の寂しさは隠しきれない。名古屋場所は大関日馬富士(28)が、白鵬(27)との29年ぶり史上5度目の千秋楽全勝対決を制し、6場所ぶり3度目の優勝を飾った。しかし、この熱闘の輪の中にまたしても日本人力士の姿は皆無。とりわけ失望を買ったのは、先場所、ファンの期待を大きく裏切って、「今場所こそ優勝したい」と雪辱の意気に燃え猛稽古をしていた稀勢の里(26)だ。

 初日は、先場所に一方的にヤラれた新鋭の妙義龍に快勝し好発進。幸先良しと思わせたが、そのわずか3日後、安美錦にあっさり負けるなど、出来不出来の波の激しさは相変わらず。11日目には、日馬富士に強烈な左からの張り手を4発浴びて完敗し、優勝戦線からもあっさり振り落とされてしまったのだ。
 「まさにヘビに睨まれたカエル。日馬富士に負けて引きあげて来た支度部屋でもクビをうなだれ、しばらく動こうとはしませんでした。この負けで気落ちしたのか、翌日の把瑠都戦は立ち合いの手突きが不十分。その上、土俵下の朝日山審判部副部長(元大関大受)に注意されても無視するような態度を取ったため、翌13日目、審判部に呼びだされてこっぴどく絞られていました」(担当記者)

 14日目の白鵬戦も立ち合いに2度も突っかけて小突かれた揚げ句、左に変わってはたきこまれるなど、まさに踏んだり蹴ったりだったが、稀勢の里の“お仕置き”はこれだけではなかった。今場所の稀勢の里の番付は横綱に最も近い東正大関で、通常なら千秋楽の結びに白鵬と対戦する。つまり、トリだ。ところが突然、審判部は取組編成のやり方を修正。「一番おもしろい取組を、一番あとに持ってくる」と、優勝争い重視を打ち出し、千秋楽の結びは全勝の白鵬対日馬富士にし、稀勢の里は脇に押しやられたのだ。稀勢の里にとってはこれ以上の屈辱はない。
 最も期待する日本人大関がこれだから、ほかの力士たちは推して知るべし。大相撲界の外国人力士優位はいつまで続くのだろうか。