毎日の生活に飽きあきした主人公の男が、なりたい自分の記憶を買いに行くことから始まる壮大なアクションストーリー。

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もし、なりたい自分になれる“記憶”があれば、あなたは買うだろうか?

たとえば、あなたが“トップモデルの自分”の記憶を買ったとする。すると、パリコレのランウェイを最新モードのファッションを着こなす自分が歩いている。いくつものスポットライトと数えきれない数の熱い目線を浴びながら、ポージング。そんな記憶が埋め込まれ、目覚めた時には言い知れない充実感を感じる、というワケ。

どうでしょう、買いたくなりました(笑)?

10日(金)に公開された映画『トータル・リコール』は、毎日の生活に飽きあきした主人公の男が、なりたい自分の記憶を買いに行くことから始まる壮大なアクションストーリー。意外にも!? 女性にも楽しんで頂けそうな仕上がりとなっていた。

ストーリー


舞台は、近未来21世紀末。工場労働者である主人公ダグラス・グエイド(コリン・ファレル)は、平凡な毎日に不満を抱いている。そんなある日、ふとなりたい自分になれる人工記憶装置を売っているリコール社を訪れ、日頃夢見ているスパイの記憶を買おうとするが、彼が記憶を書き換えようとした瞬間、大勢の警官が突入。激しい銃弾戦になるも、ダグはことごとく警官を倒してしまう。何故自分にそんな事が出来てしまったのか理解できないダグが、半ばパニック状態のまま帰宅すると愛する妻が一転、自分の命を狙う監視役へと豹変していた。一体、自分は何者なのか? ダグには予想を遥かに超えた現実が待ち構えていた……。

実は、ケイト・ベッキンセールが大活躍


本作は、『ブレードランナー』『マイノリティ・リポート』の原作で知られる伝説的SF作家、フィリップ・K・ディックによる「追憶売ります」を映画化したもので、1990年に製作されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『トータル・リコール』のリメイクだ。と、書くと「うーん、男性向けなのかな……」と思われてしまうかもしれない。
だが、これが案外と女性もかなり楽しめる(はず)。

というのも、今回は主演のダグラスを演じたコリン・ファレル以外にも妻役のケイト・ベッキンセールや、ダグの記憶のカギを握るメリーナ役のジェシカ・ビールが大活躍し、そのしなやかなアクションシーンやダグとの人間関係にグッと来るのである。

まずは、ケイト・ベッキンセール。『アンダーワールド』では制御の見方のイメージが強い彼女だが、ここでは一変。ダグを抹殺することに命をかける女監査員を演じている。それはもう鬼のような怖さなのだ。キレのある、いやキレっぱなし?のアクションも驚かされるが、その執拗なまでのダグへの攻撃の様子を見るにつけ、彼女の顔が般若の面にすら見えてくる……。

さらに、ジェシカ・ピールも物語のカギを握り……


一方、『バレンタインデー』『ヌーイヤーズイブ』などラブストーリーの活躍が目立つジェシカ・ピールもスタイリッシュなアクションを見せてくれるが、こちらはダグとのラブロマンスな雰囲気も。単なる主人公の添え物的存在ではない、むしろ彼女との出会いからストーリーが大きく展開していくところが、本作をさらに魅力的にしている。

レン・ワイズマン監督が描くリアルな近未来


本作を手がけたのは、『ダイ・ハード4.0』を大ヒットに導いたレン・ワイズマン。(『アンダーワールド』シリーズも有名で、ケイト・ベッキンセールの夫でもある。)彼の創り出した近未来も大きな見所のひとつだ。今回は、90年製作の『トータル・リコール』の舞台=火星ではなく、“地球”。ここでは、科学戦争が起きたせいで、地球が富裕層と労働者層に分かれ、地球の反対側同士で暮らしている。その為、行き来するのに、人々は地球を貫く”フォール”というエレベーターを使う。その途中では重力反転が起きたり、富裕層地域の乗り物は、高速空路を行き来するホバーカーなるものが登場。幾重にも重なるホバーカー同士のカーチェイスはかなりエキサイティングなシーンに仕上がっている。

その他、ワイズマンが描き切った緻密でリアルな近未来は、ぜひ細部まで堪能して欲しい。

最後に


本作は、ドキドキハラハラのストーリー展開、訓練に訓練を重ねたキャスト陣のガチなアクションシーン、ワイズマン監督らベテランスタッフが創り出した圧巻の近未来を楽しめるだけでなく、”アイデンティティとは何か?””人間の記憶とは?””人は何を頼りに未来を生きていけば良いのか?”など哲学的な問いももたらしてくれる。

また前作の『トータル・リコール』へのオマージュも多々盛り込まれているので、見比べながら見るのも楽しいだろう。

おひとり様は勿論、友達や恋人と一緒に見てもエキサイティングな体験をくれる夏休みにピッタリの作品と言えそう。ちなみに私は、たとえ書いた“記憶”が無くても原稿が出来上がっている装置が欲しいです……。
(mic)

『トータル・リコール』
監督:レン・ワイズマン
出演:コリン・ファレル、ケイト・ベッキンセイル、ジェシカ・ビール
ビル・ナイ、ブライアン・クランストン、イーサン・ホーク

8月10日(金)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー