テレビはかつて魔法の箱と呼ばれていた。テレビは現代においてもお茶の間の中心に置かれてはいるが、家電の王様としての地位は日々凋落している。中国網日本語版(チャイナネット)はこのほど、日系メーカーがお茶の間の戦いに負けたと報じた。

 インターネットの急速な発展により、多くの若者はパソコンやスマートフォンで情報を得るようになり、お茶の間のテレビの前に座ることは少なくなった。日系大手家電メーカーのテレビ事業で赤字を埋めようとする発想は、おそらく実現困難な夢でしかない。

 NPDディスプレイサーチが発表した世界テレビ出荷数予測によると、2012年のテレビ総出荷数は昨年比1.4%減となる2兆4500億台。うち液晶テレビは2兆1600億代で5%増である。だがこれも昨年の7%増に比べて減少した。

 NPDディスプレイサーチの北米テレビ研究責任者のポール・ギャノン氏は、「世界のテレビ需要が減速している要因として、多くの地域で経済が不安定になっていること以外に、多数の液晶テレビメーカーが利潤を重視して価格の下落幅を落とさないようにしており、それが売り上げに影響を与えている」との見方を示す。

 ニールセンが最近行った調査によると、米国では若者のテレビ視聴時間がますます短くなっている。彼らはほかの端末でテレビ番組を見る傾向にある。世界的にみると、ノートパソコンによるテレビ番組視聴者の数は昨年比で倍増しており、70%以上の消費者がテレビ以外の設備でテレビ番組を見ることを好んでいる。

 NPDディスプレイサーチは、ノートパソコンでテレビ番組を視聴する人は倍以上増えていると明かす。この増加はノートパソコンの持続的なシェア増加と不可分の関係にある。

 ある業界筋は、世界のテレビ需要が今後も落ち込めば、中国市場におけるテレビ需要も減少に転じると推測している。すばやい転身を遂げた中国家電メーカーとの戦いにおいて、日系家電メーカーは明らかに劣勢だ。その日系大手家電メーカーのなかでもシャープが、コア事業が1つしかないだけに、パナソニックやソニー以上に泥沼であえいでいる。(編集担当:米原裕子)