長崎島原に伝わる食、「いぎりす」ってなんだ?

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長崎県の南東部、橘湾(たちばなわん)と有明海に挟まれた島原半島。

世界有数の活火山・雲仙岳(うんぜんだけ)を擁しており、その中心都市が島原市だ。

ここに一風変わった食べ物がある。

その名は「いぎりす」。

ロンドンオリンピックが開催されるイギリスと関係あるのか、いったいどういう食べ物なのか現地で調査した。

この「いぎりす」、考えていても仕方ないので手っ取り早く島原温泉観光協会に尋ねてみた。

すると「島原に伝わる郷土料理ですよ。

おばあちゃんが昔から作ってくれていた懐かしい味ですね」と同協会の下田香奈さん。

しかし、郷土料理なのに「いぎりす」とはますます混乱する。

「有明海で採れる”いぎす草”という海草を使った料理で、いぎすがなまっていぎりすになったそうです」。

なるほど、素材の名前が由来だったわけだ。

でも、どんな味なの?「うーん、うまく説明できないのですが、これという特徴のある味ではありませんね。

冠婚葬祭や人が集まるときのおもてなしに振る舞われるハレの日の料理で、年配の方には今も喜ばれていますよ」。

これは食べてみるしかない。

そこで、島原市内で唯一「いぎりす」を食べさせてくれるという郷土料理店「中屋」を紹介してもらった。

訪ねてみると、島原城を目の前に望む昔ながらのみそ蔵を改装した店で、おかみさんが手作りの料理でもてなしてくれる。

早速頼んでみると、薄茶色の四角いかまぼこのようなものが運ばれてきた、中に小さく刻んだ具が入っている。

「いぎす草は有明海で6月ごろに採れる海草です。

その乾燥させたものを鍋で煮て溶かし、味つけした野菜や魚を入れて固めたのがいぎりすです」。

いぎす草自体は味がないそうで、中に入れる具材がおいしさのポイントになるとか。

中屋では細かく刻んだニンジンと白身魚を煮てほぐしたものを入れている。

かつては各家庭で作られていたが、手間がかかることから今では手作りすることは少なくなったという。

ではでは、いただいてみよう。

ひと口目の感じは少しざっくりしたもの。

磯の香りが漂うが、味の印象はぼんやりしている。

そこで酢じょうゆをつけてみた。

おっ、味が引き締まり、具材の野菜や魚の風味が口の中に広がる。

さらにふた口、三口と食べ進めると塩加減もちょうどよく感じられてきて、酒の肴にいけそうだ。

色々調べてみると、いぎりすのルーツは四国の今治地方に伝わる「いぎす豆腐」であることも分かった。

島原の乱で人口が激減した島原を復興させるために、江戸幕府が大規模な移住政策を行い、四国地方から大勢の人と文化が流入。

特産の手延べそうめんも、小豆島(しょうどしま)から持ち込まれた技術によるものだ。

島原地方にはいぎりすのほか、小さな白玉団子を湧き水で作ったシロップで食べる「かんざらし」やサツマイモの粉を使う、うどんのような「六兵衛」など、ユニークな郷土料理がある。

長崎島原に来た際はこちらもいっしょに味わってみたい。

住所:長崎県島原市城内1丁目1186交通:島原鉄道島原駅から徒歩5分営業時間:10:00〜17:00定休日:木曜席数:20席駐車場:2台いぎりす 315円(多人数での利用の場合は前もって連絡を)

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