元オリンピック・アスリートに聞く。スポーツシューズの正しい選び方とは




今年こそランニングをするぞ! と念願のスポーツを始めた矢先に、足をけがして歩くのもつらい……。そんな経験をした人は多いでしょう。



「ランニング中の足のけが予防には、シューズの選び方、履き方が最も大事です」と言うのは、元オリンピック・ショートトラックスピードスケートの選手で、現在はウォーキング・ランニングアドバイザーとして活躍する勅使川原郁恵(てしがわら・いくえ)さん。詳しいお話を聞きました。



■靴が大きいと、けがや筋肉痛のもとに



「アスリートたちにとって、マイシューズを選ぶことは重要な仕事の一つなんです」という勅使川原さんは、

「足をけがすると、ランニングを中断して休養せざるをえません。その後も走るのがいやになってしまった、やっぱり自分には無理、とあきらめてしまう人も多いようです。ですから、シューズだけは、開始当初から運動の種類と自分に適したタイプを慎重に選びましょう」と呼びかけます。



具体的な選び方のコツについて、勅使川原さんは次のように説明します。



1)専用シューズから選ぶ。

ランニング用ならランニングシューズを、ウォーキング用ならウォーキングシューズ、テニス用ならテニスシューズの売り場に行き、「その運動の専用シューズ」のラインナップから選びます。



というのも、専用のシューズは、ここ数年でその運動に適した機能の研究がつくされています。クッション性、ソールの硬さ、材質、シューズのフォルムなど、すべての角度から、足への衝撃を適度に緩和し、足や骨盤にいい影響を与えるように作られています。



安価なスポーツシューズもたくさん売っていますが、それらは外観はスポーツシューズの形状でも、機能は不備不全だと考えてください。



2)売り場のアドバイザーに相談、試着に付き合ってもらう。

自分で判断するより、いろいろなパターンを知っているプロのアドバイザーの意見を聞いて試着しましょう。迷ったときは特に、何をどう迷っているのかを伝え、アドバイスをもらってください。



3)足のサイズが大きくなる夕方以降に試着する。

足のサイズは、朝と夜では1センチ以上も違うことがあります。夕方以降は、むくみが出るから大きくなるんです。どちらも自分のサイズですが、朝に小さめのサイズを選んだ場合、やがて、マメやタコ、スレ、足の皮がむけるなどの足のトラブルの原因になります。



4)両足とも試着し、売り場を歩いてみる。

いつものスポーツソックスを穿いて、必ず、両足とも試着します。靴ひもをきちんと結び、売り場を歩いてフィット感を探ってください。また、屈伸する、足首をくるくる回してみるなどをして、足の指が靴にあたっていないかを確認します。



足の指は、靴の先で少し泳ぐ程度のサイズを選びます。ここで注意すべきは、小さめの靴だけでなく、ぶかぶかの靴でも足を痛めてしまうということです。



よくある例として、大きいからといって靴ひもをきつく締めると 、足裏のアーチがつぶれて外反母趾(がいはんぼし)に、また、足の甲の筋肉痛や足が靴の中でずれてつめが痛む、マメができる原因になります。



そのほか、ランニング中の足の痛みで特に多いとされるシンスプリント(スネの骨の内側、下の方に生じる痛み)、足底筋膜炎、足関節のねんざなどが起こりやすくなります。



「急いでいるときを避け、ゆったり時間をとって必ず試着をしてからマイシューズを選びましょう」と勅使川原さん。さらに、「靴の正しい履き方・脱ぎ方」をアドバイスしていただきましょう。



履き方

かかとをしっかり合わせ、つま先を上げた状態で靴ひもを下から順に締めていきます。次につま先を下げてかかとを上げ、しっかりフィットさせます。

写真のように、その状態で足の甲を締め付け過ぎないよう、ひもを結びます。



脱ぎ方

無理に脱がず、靴ひもを上から2番目の穴ぐらいまでゆるめてから脱ぎます。すると、次に履くときに正しい履き方がしやすくなります。



ありがとうございました。



靴選びが足にとってこれほど影響を与えているとは。パンプスを選ぶときには時間をかけていましたが、スポーツシューズこそ試着をして慎重に選ぶべきだと感じました。脱ぎ方、履き方もていねいさを心がけたいものです。







監修:勅使川原郁恵氏。ショートトラック・スピードスケートの種目で‘98年長野五輪、2002年ソルトレークシティー五輪、’06年トリノ五輪と、3度のオリンピック出場・入賞を果たす。

引退後、朝日新聞のプリンセスウォーカー、(社)日本ウオーキング協会のウォーキング親善大使などを経て、多くの企業のウォーキング・ランニングアドバイザーを務めながら、メディアや講演など多方面で活躍中。温泉ソムリエ、野菜ソムリエなどの資格を有し、「年代を問わない美と健康」を提唱している。

著書の『ウォーキングでナチュラル美人ダイエット』(扶桑社)は、ウォーキングでけんこう骨や骨盤、精神面などへ働きかける方法とその効果を分かりやすく解説した好評の一冊。





(藤井空/ユンブル)