『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』(大和書房)を書かれたばかりのちきりんさんの対談相手は、『地球の歩き方』の編集に長年たずさわってきたダイヤモンド・ビッグ社の取締役編集担当・石谷一成さん。今回は、ちきりんさんの中東体験やお勧めの観光スポットを紹介します。

「地球の歩き方」から外れた旅を!

ちきりん 「地球の歩き方」が海外旅行ガイドとして大きな市場シェアを得るドミナントなシリーズになった経緯、さらには今後のガイドブックのあり方など、いろいろお話をうかがってきました。そんな「地球の歩き方」の編集制作側として、読者にどんな旅をしてほしいとお考えですか?

石谷 そうですね。よく「『地球の歩き方』を持つと、『地球の歩き方』の旅しかしなくなる」という声を聞きます。ですから、抽象的な言い方ですが、本当は「地球の歩き方から一歩はずれた旅」をしてほしいですね。たとえばパリに行って、シャンゼリゼ通りを歩いてもちろん楽しいでしょうが、できれば、一歩入って裏道を歩く。すると、シャンゼリゼ通りもこれまでとは全然違った道に見えてくる……そういう旅をしていただくということですね。

ちきりん よくわかります。ガイドブックを見て載っているところを訪ねるだけなら「オリエンテーション」ですものね。

石谷 絶対に見るべきものとか、行くべきところとかは、「地球の歩き方」に書いてあります。それを利用していただくのは編集者冥利に尽きるんですが、たとえば、レストランなどでは「地球の歩き方」に載っているのは限られた数です。おそらく、その街には、載っている数の10倍、100倍はレストランがあるはずです。

ちきりん たしかにそうですよね。でも「地球の歩き方」には、このとおりに動けば、いい旅ができるに違いないというブランド力がある。その信頼感たるや、すごいものだと思います。

石谷 ありがとうございます。この対談にあたって、『世界を歩いて考えよう!』(大和書房)を読みまして、世界を旅するちきりんさんの発想がおもしろいと感じました。「地球の歩き方」を何歩もはずれた旅をされている(笑)。伊藤博文がいなくなった下り(30ページ)あたりなど、秀逸です。

ちきりん なぜ、伊藤博文がお札のデザインから消えたのか、そのワケをソウルオリンピックの開催に関連させて述べている部分ですね。あの下りは想像を膨らませて書きました。

石谷 そういう想像の膨らませ方、目のつけどころが“旅慣れた人”というものを感じさせます。

ちきりん ありがとうございます。私も、「地球の歩き方」を見て旅したところって、ホント、多いんですよ。80年代の半ばから、ずっとですから。基本的な旅行の方法論を教えてもらったと思っています。

石谷 「地球の歩き方」は、各タイトルに番号をふっているんですが、そのふり方もユニークで、1番は『ヨーロッパ』、2番は『アメリカ』なんですけど、ちきりんさん、3番は何かわかります? ふつうはハワイとかフランスになりそうなものだけど、『インド』なんです。

ちきりん すごい。なんというか、ホントに「地球の歩き方」的なナンバリングですね。インドはバックパッカーの聖地(?)のような場所だったし。

石谷 それで、4番が『オーストラリア』。続いて、『ハワイ』『中国』です。『中国』は1980年代初めに出しています。旅行者が、簡単には観光で見て回れなかった時代です。いまは、シリーズ化されたりするなかで、番号のふり直しも行なわれていますが、このように「海外への個人の自由旅行に役立つ本」という視点は、忘れずにブランドとして育てていきたいですね。

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