反体制派ブロガーや活動家が、奇怪な容疑で起訴されるケースが相次いでいるロシア。そんな中、 反プーチンのゲリラ演奏をして長期拘束されているパンクバンド、「プッシー・ライオット」のメンバー3人の公判が行われました。法廷のケージの中から、バンドメンバーが叫んだ主張、そしてマドンナの型破りな支持の方法とは...?

現地時間8日、公判最終日 -- ロシアの女性パンクロックバンド「プッシー・ライオット」のメンバー3人は、自分達の活動を旧ソ連の反体制派活動家のそれになぞらえ、起訴は不当なものとし無罪を主張。「内なる自由」を奪うことはできない、と法廷に述べました。

この事件は、5月に大統領に就任したプーチンが、反体制派に対してどれだけ許容範囲があるのかの早期テストと見られており、注目を集めています。

ロシア大統領選直前の2月、モスクワの大聖堂に乱入し、聖母マリアに向かってプーチンを追放してくれるよう嘆願する歌を演奏したのがこのバンドの「罪」。すでに5か月、騒乱罪で当局に監禁されています。そして今回検察側は、宗教に対する憎悪、冒とくを目的とするフーリガン(暴徒)行為の罪で、メンバー3人に禁錮3年を求刑しました。

バンドの意図はロシア正教会を侮辱することではなく、プーチン大統領とモスクワ総主教キリル1世 の深い政治的関わりを明るみに出すことだったのですが、教会信者の怒りを買い、この事件に関してはロシア国民の意見は分かれているそうです。

時おり傍聴席でわっと起こる支持の拍手を背に、ガラス張りのケージの中から、3人は最後の答弁をしました。

「私の(身体的な)『自由』を奪えるからと言って、このいわゆる『裁判所』で下される、判決と言う名の下手に隠ぺいされた詐欺を私は怖れていません」と述べたのはバンドメンバーの1人であるマリア・アリヨキナ(Maria Alyokhina)さん。「誰も、私の内なる自由を奪うことは出来ません。」

法廷は一旦休廷し、判決は17日に言い渡される予定です。3人の顔は青白く、疲れている様子だったとのことですが、マドンナが支持を表明してくれたニュースは元気づけになったようです。

7日にモスクワで行われたコンサートの中でマドンナは、「プッシー・ライオット」のトレードマークであるフェイスマスク(balaclavas)を着け、背中に"Pussy Riot"と大きくボディアートのように書いてステージに登場し、観客を驚かせました。

そのいでたちで、抑圧を怖れず表現することがテーマの『Human Nature』を歌ったマドンナは、「世界のどこにいようと、誰にも表現の自由があります」そしてまた、「彼女達は勇気ある行動をとりました。その自由のために祈っています」と発言しました。

数々の国際人権擁護団体やミュージシャンが、「プッシー・ライオット」の解放を求めているこの事件。スティングや、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、またジョニー・マーやフランツ・フェルドナンドなども彼女達を擁護しています。

しかしクレムリン当局の立場は非常に難しいところ。寛大な判決を下せば、国際的に独立機関として信用がない司法当局の株が上がりますが、寛大過ぎると見られた場合、ロシア正教会や、「プッシー・ライオット」のパフォーマンスに腹を立て、重い判決を求めていた教会信者達の怒りを買ってしまいます。

反プーチン派にとって、活動家に対する弾圧活動のひとつと見られているこの裁判。ミュージシャンの自由な表現がロシアでどこまで許されるのか、そして海外セレブの発言にどれだけ影響力があるのか...17日の判決が待たれます。

<マドンナ、モスクワでのコンサート中「プッシー・ライオット」を支持>