今回のロンドンオリンピック、日本からは多くの選手が出場していますが、その中でも、競泳の大塚美優選手をはじめ、内田美希選手、渡部香生子選手、また、体操の寺本明日香選手ら8人の女子高生がいます。そんな女子高生オリンピック選手として、最後に出場を決めたのが、陸上短距離界の新生・高校二年生の土井杏南選手です。

 女子400mリレーに登場する土井選手。書籍『オリンピックと女子高生』では、そんな土井選手の素顔に迫っています。

 埼玉栄高校に通う土井選手は、一年生の時に参加したインターハイ県予選で高校歴代二位、ジュニア記録二位タイ、高校一年生としては歴代一位の記録を残します。その後も、インターハイ本戦で優勝し、国体、日本ユースも獲って、高校三冠を成し遂げました。

 しかし、この華々しい結果の裏側では深刻な問題を抱えていました。それは、高校に入ってから、0秒01しか記録を更新していなかったのです。

 そこで土井選手を指導する清田先生は、ウサイン・ボルト選手の走り方を参考にした『骨盤トレーニング』を導入。ボルト選手は骨盤をフルに回転させて、ただでさえ長い足をより遠くへ運ぶような走り方をしています。この方法を取り入れ、土井選手のストライドが大きくなるようにフォームを進化させたのです。

 「冒険だった」と、清田先生が話すこのトレーニングは見事に成功し、再び土井選手は記録を伸ばすようになりました。このトレーニングが成功した理由に、彼女の性格があると清田先生は言います。

 「あの子は人の話や人の助言っていうのを非常に素直に受け止めることができて、受け止めたらそれをやり遂げようとするんです。たとえば『こういうことをやったらいいんじゃないの?』とアドバイスしたとき、普通の子はだいたい一週間から二週間、せいぜい一ヶ月やってできなかったらやめます。でもあの子はそうやって言われて、自分でやるって決めたことは、時間がかかったとしてもできるまでやり切ります。新しいトレーニングも成果が出るまでに六ヶ月近くかかっているわけですから、よくあきらめずにやりましたね」

 天性のスピードを持つ土居選手の強さの秘密は、指導者を信じ抜くといった点にもあるようです。

 清田先生は、土井選手の意外な一面についても紹介しています。

 「あの子はいつも明るくてニコニコしていて、見た目はちっちゃくて足が長いわけでもないし、足が速そうにはとうてい見えないんですよ。スパイクを買いに行ったら、お店の人に『こっちの安いのでいいんじゃない?』って初心者用を勧められるくらい。日本のトップクラスなんですけどね(笑)」

 いよいよオリンピックの舞台に立つ土井選手。レース後に持ち味の笑顔が見られるようなレース結果を期待したいところです。



『オリンピックと女子高生 (マイナビ新書)』
 著者:門脇 正法,須賀 和
 出版社:マイナビ
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