ロンドン五輪が閉幕に近づきつつあるなか、現在、日本は、4つの金メダルを獲得した他、銀13、銅14と、合計31のメダルを手にしています。合計数では上位に食い込んでいますが、国別メダル獲得ランキングでは、金メダル数が少ないため、13位に甘んじています。お家芸とも言える柔道で思うように金メダルが取れなかったのが影響したのでしょうか、銀・銅メダルが多い印象です。

 さて、以前、「世界で一番にならなくちゃいけないんですか? どうして二番じゃだめなんですか?」と言って、スーパー・コンピューター開発予算の削減を迫った女性国会議員がいました。その年の流行語にもなりました。

 小説家・村上春樹氏が、女性ファッション誌『anan』 で連載しているエッセイをまとめた『村上ラヂオ』『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』に続く最新作『サラダ好きのライオン』で、この言葉について持論を展開しています。

 村上氏は、「そう言われても、二番になるのって、けっこうむずかしいんだよね」と思ったそうです。一番になろうと思って努力しても、結果的に二番になることはありますし、諦めながら取り組んでも、ことが意外とうまく運び、二番になってしまうこともあります。しかし、村上氏の経験上、最初から二番になろうと思って努力して、それでめでたく二番になるということはあまりないと言います。

 そもそも、意図的に二番を目指すシチュエーションなんてあるのでしょうか。五輪に出場している選手には、こういった狙いは考えられません。また、二番を目指して守りの姿勢でいることで、その二番のポジションさえ保っていくこともできないのではないでしょうか。それぐらい勝負の世界は厳しいはずです。

 しかし、「僕個人のことを正直に言わせていただければ、二番手というのは、ポジションとしてわりに好みです。マラソンでいえば先頭グループの後ろあたりにつけているのがいい。テレビ・カメラにもなるべく映らないように、前の人を風よけにしてそそっと走る。先頭に立って突っ走るというのは、どうも性格的に向かない」と、村上氏は二番のメリットをあげています。

 小説家として第一線を走り続ける村上氏です、場合によっては、嫌でも向かい風を正面から受けなければならない状況が生まれます。二番が好みだという村上氏は、二番になりたくてもなれない責任を背負い込んでいるからこそ。

 あなたは一番を目指しますか? それとも、二番を目指しますか?



『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』
 著者:村上 春樹
 出版社:マガジンハウス
 >>元の記事を見る



■ 関連記事
メキシコ戦に挑むFW大津祐樹、小学生時代からの弱点は「小さな体」
【押忍!論壇女子部】第二回:「豊崎由美 × 栗原裕一郎 いつも心に太陽を 〜慎太郎で巡る現代日本文学60年史〜 vol.4」を突撃!
『速く泳ぐレース』と『勝負するレース』を強く意識、銅メダリストの入江陵介


■配信元
WEB本の雑誌