ベテランFPが”こっそり”教える、知ってトクする保険の話 (3) 健康に不安がある人でも入りやすい - 『引受基準緩和型』の医療保険って?

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病気やケガによる入院や手術に備えて医療保険に入りたい」と思っても、持病を抱えていたり、病気で通院、服薬中など、健康上の理由で医療保険への加入を諦めざるを得ない場合があります。

そんな方を対象に、現在ではいろんな保険会社が「引受基準緩和型医療保険」を提供しています。

一般の医療保険とは違う「引受基準緩和型医療保険」にはどんな特徴があり、どんな注意が必要なのでしょうか?「引受基準緩和型医療保険」は、おもにシニア層をターゲットにした保険商品です。

生命保険や医療保険に入りたくても、持病があるなど、健康上の理由で入れない人の割合は、年を重ねるほど高まる傾向があります。

死亡保障の必要性は子どもが自立すると低くなりますが、医療保障は「自分が生きていくための保障」。

”安心を買う”意味合いの強い保険において、医療保障への関心は、若い頃よりもむしろ体力や健康に不安を抱える高齢期のほうが高まりそうです。

シニア層のボリュームが厚くなっているいま、「引受基準緩和型医療保険」を提供している保険会社は17社にも及び、各社が販売に力を入れています。

医療保険に入るときは、ふつう、自分の健康状態や過去の病歴を正しく保険会社に申告する「告知」という行為が必要です。

そして、告知内容によっては保険に加入できない場合があります。

保険会社から「リスクが高い」と判断されると、入りたくても入れないのです。

通常の標準体の人が入る医療保険のおもな告知事項は以下の通りで、健康状態や過去の病歴を広く問う網羅的な内容になっています(告知項目は保険会社によって異なります)。

いっぽう、「引受基準緩和型医療保険」のおもな告知事項は次の通り。

項目がシンプルで、質問事項も限定的です(告知項目は保険会社によって異なります)。

「引受基準緩和型医療保険」は、告知項目を絞り込むことによって、通常の医療保険に入れない人でも加入することができる可能性を高めています。

加入前にかかっていた病気の再発・悪化による入院や手術でも給付金を受け取ることができます。

また、同じ「引受基準緩和型医療保険」でも、これまで加入が難しかったうつ病、神経症、慢性肝炎などの人でも加入しやすい商品も出てきています。

「引受基準緩和型医療保険」の保障内容は、通常の医療保険と同じように、入院1日あたりの入院給付金、手術給付金、先進医療給付金などから構成されていますが、大きな特徴のひとつは、契約日から1年間は、給付金額が半額に減額されること。

たとえば、入院給付金1日1万円、手術給付金10万円の保険に入り、次のような入院、手術があった場合、受け取ることができる給付金の合計は、下のようになります。

入院給付金日額1万円×50%×20日間 10万円日額1万円×20日間 20万円手術給付金手術給付金10万円×50% 5万円合計 35万円また、通常の医療保険と比較すると、支払う保険料の金額は2〜3割増になります。

標準体の人よりも入院や手術の確率が高い分、リスクの高さに応じて保険料は割高に設定されるのです。

そもそも医療保険は、病気やケガによる入院・手術などに対して給付金という「お金」が払われるもの。

したがって、予備的な「お金」をしっかり貯蓄している人は、保険に入らなくても手元資金で十分に対応できるかもしれません。

もともと、公的健康保険制度の仕組みのなかに、医療費の自己負担額を一定の範囲に抑制できる「高額療養費制度」もあります。

それは、70歳以上になるといっそう充実し、負担額をさらに抑えることができるようになっています。

民間の医療保険は、入院したり手術を受けないとお金を受け取ることができませんが、貯蓄にはいろんな使い道があります。

高齢期になって加入する医療保険は、若い時期に加入するよりも支払う保険料が高くなり、出費がかさみます。

健康や体力への不安を、すぐに医療保険の加入に結びつけなくてもいいのではないでしょうか。

通常の医療保険を申し込んで加入できなかった人も、その理由が申し込み時点での診察・検査・治療・投薬で、しばらく待てば入れる可能性が高い場合は、「引受基準緩和型医療保険」よりも保険料が割安な通常の医療保険に入ったほうがいいでしょう。

そして「引受基準緩和型医療保険」に入る場合は、複数の会社の商品の保障内容や保険料を確認し、家計への負担が過度に重くならないように配慮するようにしましょう。