あの熱狂も今は昔……。

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今年の5月、日本列島を大いに湧かせた金環日食。日食メガネを買い損ね、クリアファイルにマジックを塗った物を3枚ほど重ねて、かろうじて観察したのは筆者のよき思い出である(良い子はマネしないでね)。

ところで、金環日食の前後から静かな話題となっていたのが、「使い終わった日食メガネ、どーすんの?」ということ。幸い、金環日食の後、6月7日に金星の太陽面通過、というイベントがあったため、日食メガネは2度目の活躍の場を得たわけだが、それも終わってしまった現在、日食メガネはほぼ、当初の役割を全うした。根も葉もない言い方をすれば、「用済み」となった。

しかしながら、「そんなに高価なものではないけど、思い出が詰まっているし、捨てるのちょっと……」と、捨てるのが忍びない人も多いようである。日本中に存在するおびただしい数の日食メガネを、有効利用する方法について考えてみたい。

もっとも有効な活用方法は、やはりリサイクルだろう。金環日食が終わった後、仙台市天文台には、「サモアのこどもたちに日食グラスを譲ってください」というチラシが貼られていた。これは、国際協力機構(JICA)の一環で、サモア国立大学で理科講師をつとめる新沼迅逸さんなる人物が発起人となって行われた活動である。

なんでも、オセアニアの島国であるサモア独立国では、今年の11月に部分日食が観測できるそうで、教育の一環で、部分日食をサモアの子供達に見せてあげたい、という思いから募集を行ったようである。

天文台のブログによると、当初目標としていた200個を大きく上回る、6000個の日食メガネが集まったとのこと。天文台に届けられたメガネは、新沼さんの家族を通してサモアに送られるようだ。

旅行情報提供サイト、トリップアドバイザーで紹介されている「世界日食観察マップ」によると、今後世界各地で見られる日食スケジュールはこんな感じである。新沼さんのように、日食メガネを届けてあげたい場合の参考としていただきたい。

2012年11月14日 オーストラリア、南太平洋など(皆既日食、サモアでは部分日食)
2013年5月10日 オーストラリア、南太平洋など(金環日食)
2013年11月3日 北大西洋、アフリカなど(皆既日食)
2014年4月29日 南極(金環日食)
2015年3月20日 北大西洋、北極圏など(皆既日食)

それ以外の活用方法として、ヤフー知恵袋などの質問サイトには、「溶接時の保護メガネとして使えるんじゃね?」という回答が寄せられていた。これについては、一般的な日食メガネの遮光度(JISで規定される、光の通りやすさ。番号が大きいほど光を通しにくい)は13であり、一般的であり、最も強い光がでるアーク溶接で使われる保護メガネの遮光度は11であるので、目の保護という点では問題なく使える可能性が高い。

ただし、溶接器具販売店に聞いてみたところ、「遮光度が高すぎると、手元が見えなくなるため逆に危険な場合もあります。また、溶接時には火花が発生するため、目だけでなく顔全体(というか全身)を保護する必要がありますので、必ず専用の保護マスクを使ってください」とのことであり、安全に使うのは難しそうである。

別の使い道として提案されていたのは、「好きな女性の前でかけて、『君がまぶしすぎるから』と言って口説く」という、かなりハイレベルなもの。もし実行する場合には、BGMとして、中森明菜の隠れた名曲「原始、女は太陽だった」をかけることで、その趣旨も伝わりやすいのではないだろうか。

ちなみに、日本においては、北海道の大部分において、2030年6月1日に金環日食が見られる。北海道に住んでいる人は、「これは、ワシがまだ若かった頃に、金環日食を見た、伝説の日食メガネなのじゃ」と子供にたくすべく、保管しておくのも、それはそれでアリである。
(エクソシスト太郎)