病院・診療所編

業界トレンドNEWS Vol.141

病院・診療所編

病院とは、病床数がいくつ以上の医療機関を指すでしょう?答えは記事から!


■高齢化に伴い、介護サービスとの連携が強化。患者の立場でサービスを提供する必要性が増す

病院とは、病床数が20以上ある医療機関のこと。これに対し、病床数が19以下、あるいは入院施設がない医療機関は診療所と呼ばれる。経営母体により、民間セクターである医療法人と、国公立病院や自治体病院、大学病院などに大別される。厚生労働省の「平成22年 医療施設調査」によれば、2010年10月1日現在における全国の医療施設総は、17万6878施設(活動していない施設を除く)。内訳は、「病院」が8670施設、「一般診療所」は9万9824施設、「歯科診療所」は6万8384施設だ。なお、1990年当時の病院は1万96施設、一般診療所は8万852施設。20年間で、病院が約14パーセント減り、一般診療所が約23パーセント増えたことになる。

厚生労働省の「平成22年度 医療費の動向」によると、2010年度の国民医療費は36.6兆円。09年度に比べ、1兆3700億円増えた。財政のひっ迫が深刻化しているため、政府は医療費の抑制を目指し、医療制度改革を進めている。主な課題は、「(1)診療報酬の見直し」「(2)薬価基準の見直し」「(3)高齢者医療制度の見直し」「(4)医療提供体制の見直し」「(5)医療費の適正化」だ。こうした方針にのっとり、02年度より4回にわたって診療報酬はマイナス改定となった。だが、その結果、経営状況が悪化してスタッフが削減され、医師や看護師が医療行為以外の事務作業までこなさなければならないケースが続出。さらに、06年に導入された「新臨床研修医制度」などによって慢性的な医師・看護師の不足・地域偏在に拍車がかかってしまった。そこで、10年度の診療報酬改定では、10年ぶりにプラス改定がなされた。12年度の改定でも、医療従事者の負担軽減のため、予算が重点配分される予定だ。

人口減少時代に突入した日本だが、世代別に見て人口が最も多い「団塊の世代」(1947〜49年ごろに生まれた人々)が高齢者になるのはこれから。そのため、今後しばらくは市場の拡大が見込まれている。ただし、高齢者の場合は医療ニーズより介護ニーズの方が大きい。そこで、医療機関と介護サービスとの連携の重要性はますます高まるはずだ。また、医療費抑制への機運はさらに強まる見込み。そこで、健康増進や病気予防といった周辺分野との機能分担により、効率的な医療が求められるだろう。

限られた医療資源(医師・看護師などの人材や、薬剤、医療機器など)を有効活用するため、医療機関の役割分担を進める動きも活発になっている。比較的軽い患者は、地域の「かかりつけ医」である診療所が担当。さらなる処置が必要な場合は、地域の中核病院を紹介して高度急性期治療を実施する。こうして不必要な重複診療を防止し、医療の質・量を維持しようというのだ。

医療機関においても、技術開発は着々と進んでいる。電子カルテの推進などITインフラの整備は、地域医療機関の連携や、医療の効率化に大きく寄与。また、患者が多くの医療情報に触れられるようになったのも、技術革新のメリットだ。ただし一方で、患者が医療機関に向ける視線は厳しくなっている。そこで病院・診療所には、これまで以上に患者の立場になった医療や周辺サービスを提供するよう、配慮する必要がでてきた。また、医療技術の進歩は医療費の高騰につながったり、「誰にでも平等な医療」という従来の前提を崩したりする危険性もあると指摘されている。