コーヒーとサービスのパン。

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ロンドン在住の日本人にとって、同市内ピカデリー・サーカス地区はとても縁のある場所だ。付近には日本食品店や日本食レストランが点在し、ロンドンに住む日本人の生活を支えている。最近それら店舗のうちの一つが名古屋化しているという。朝コーヒーを注文すると無料でトーストが付くモーニング・サービスが導入されたというのだ。名古屋出身のライターが、ロンドンで見つけた名古屋を早速体験してきた。

向かったのはロンドン三越の隣にある、日本食品などを扱うジャパンセンターという店。ここで朝8時から10時の間にコーヒーを注文すると、トーストが無料サービスされるのだ。同店では一カ月前からこのモーニングをおこなっているそうで、コーヒーはオーガニックのものを使うなど、素材にもこだわっているという。

無料サービスされるトーストは、ハンバーガーに使われるようなバンズで味は若干甘め。朝、軽めに胃に入れる量としてはちょうど良い。名古屋人としては、サラダやゆでたまごもほしいところだが、ここはロンドン、モーニングでトーストが付くだけでもありがたい。それ以上にモーニングという文化が海外進出したということに、感動もひとしおだった。

モーニングは本来、喫茶店同士のサービス競争から生まれた。名古屋市を筆頭に愛知県内は喫茶店の利用客が多く、かつ店舗数も多いため他店との競争が激しい。同じくカフェが多くあり利用者数も多いフランスの日系ショップではなく、英国でモーニングが始まった意外性は大きい。

ピカデリー・サーカス近辺はロンドンで最も人が集まる地区の一つ。有名チェーンを筆頭に多くのカフェが並び、コーヒーだけだと競合店も多い。客層は日本食品店という店舗柄、日本人客が中心だが、コーヒーついでにトーストを頬張っている英国人客もちらほらいた。ジャパンセンターのモーニング・サービスが近隣のカフェを巻き込み、今後英国でも名古屋同様にモーニング文化は広がっていくのだろうか。名古屋出身だけに(かなりの希望的観測だけれど)モーニングが世界基準化することを願ってやまない。
(加藤亨延)