経済キャスター・鈴木ともみが惚れた、”珠玉”の一冊 (21) 『円高悪玉論』でトクをするのは? 岩本沙弓氏が語る”世界経済の真実”(前編)

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経済キャスターの鈴木ともみです。

今回は、連載コラム「経済キャスター・鈴木ともみが惚れた珠玉の一冊」夏の特別企画・スペシャル対談の第ニ弾/前編です。

対談のゲストは『世界恐慌への序章 最後のバブルがやってくる〜それでも日本が生き残る理由〜』の著者・大阪経済大学経営学部客員教授の岩本沙弓さんです。

同書は多くの読者の共感を得ており、すでに4刷のベストセラーとなっています。

公式データを基にしたファンダメンタルズ分析やテクニカル分析に加え、第三の分析・裏取り&裏読みを駆使した岩本さんならではの鋭い洞察。

その奥深い分析力にあふれた内容は、私たちの知識欲を満たしてくれると同時に、心をも動かしてくれます。

今回は、同書の”隠れテーマ”も探りつつ、できる限り真実を浮かび上がらせる対談を目指しました。

鈴木 : お互いのコラムを読み合う仲ではありますが(笑)、対談は久しぶりですね。

岩本 : そうですね。

半年ぶりでしょうか。

鈴木 : その間に、ベストセラーを出されまして…。

すでに4刷、すばらしいですね。

岩本 : 本当にありがたいことです。

鈴木 : この『最後のバブルがやってくる』は、何度でも読み返したくなる経済書です。

内容もかなり”ガチ”ですよね!「ガチ・ガセ=本物・偽物」で言う所の「ガチ」、そして本気の「ガチ」という両方の意味(笑)。

岩本 : ありがとうございます。

鈴木さんにそう言っていただけると嬉しいです(笑)。

鈴木 : 「ガチ」だからこそ、浮かび上がってくる真実が、全編に渡って表現されています。

そうしたなか、見えてくるのが「隠れテーマ」でして。

岩本 : 「隠れテーマ」ですか…?鈴木 : はい。

「ベストセラーの経済書に騙されるな!」というテーマです。

岩本 : なるほど。

そのように読み解いてくださるとは。

鈴木 : と、言いつつも、こちらの本も堂々のベストセラーなんですけど(笑)。

岩本 : …複雑です(笑)。

鈴木 : 「ベストセラーの経済書に騙されるな!」の観点から読み進めていきますと、まずは、増税論議が騒がしいなか、日本の財政問題の矛盾点がみつかってきます。

それは公式データを精査していけばわかることだったりしますね。

岩本 : 私は、青山学院大学の大学院で、もともと経済企画庁におられた小峰隆夫教授の「経済白書を読む」という講義を受講していた時期があるのですが、小峰先生の授業は、データを基に経済的な真実は何かというアプローチが徹底されていて、とても興味深いものでした。

「一般に信じられている説、ベストセラーの経済書にある説が正しいとは限らない」ということや、「データの中にこそ真の答えがある」ということを教えていただいたのです。

鈴木 : どうしても、日本の債務対GDP比が220%近いとか、借金時計が1000兆円を超えたなどという情報が入ってくると、不安と焦りが募ってきますね。

岩本 : もちろん、無駄な借金はすべきでないですし、中長期的な収入と支出のバランスを取ることは必要です。

意味のない為替介入により、負債を増やすこともよしとすべきではないでしょう。

ただ、経済学的に不適当な数字を基に、すぐに日本破綻論を掲げるのはとてもナンセンスなことだと思うのです。

そもそも、基本中の基本の考え方として、「海外からの借金で成立している国」と、「自国内で収支を賄えている国」とでは、話は180度変わってきます。

債務国でなければデフォルトは起きないのです。

鈴木 : 岩本さんは、外為ディーラー業務の第一線にいらして、まさに現場の感覚を知ってらっしゃいます。

マスメディアを通して私たちに伝わる情報に、やはり違和感を覚えるものですか?岩本 : 今は現場から離れているわけですが、いざ離れてみると、現場にいる頃には当たり前とされていたことが、市場取引の世界では全く別の解釈をされていることに驚きます。