テレビ東京というのは、いつも「オミソ」の扱いをされてしまう。でも、最小のキー局という立場は、ニッチを狙ったり、思い切った企画で暴れたりできる。

事実、「TVチャンピオン」や「なんでも鑑定団」など、ユニークなヲタク系番組で、他局の鼻をあかすこともしばしばあったのだ。

オリンピック番組でも独自色を出せばいいのに、と思うのだが、今回は中途半端。ロンドンのメインキャスターに佐藤隆太、そして古閑美保、局アナという陣容を組んだ。

芸のない柳沢慎吾という異名を持つ佐藤隆太には、松岡修造風の暑苦しいキャラを期待したのだろうが、今のところ不発。何といっても佐藤隆太は「役者」だ。ロンドンのスタジオで、自信なさげに座って、ぼそぼそ話す姿はMCからは程遠い。

また、スタジオのセットがしょぼい。スツールをならべただけ。テーブルが遠いので佐藤もアナも解説者も、全身が見えてしまっている。

これは、緊張するのだ。両足を揃えて、肩身が狭そうに座っている姿をみると、佐藤が「どうでもいいことはよくしゃべるが、肝心のことは言えない」キャラだということがよく分かる。

昨日は柔道女子63kg級の中継をしていたが、上野順恵の郷里旭川と中継がつながっていた。

佐藤が盛り上げないままに、しょっちゅう旭川にカメラが変わるのだが、そのたびに祖母や地元の人が無理やり盛り上がるのがわざとらしい。

こういう五輪放送、昭和の時代にはよくあったがなぁ――、と感慨にふけってしまう。テレビ東京は、もう少し弾けた企画をすればよかったのに。これでは単なる「お付き合い」だ。