五輪・競泳の男子100m背泳ぎ決勝で、銅メダルを獲得した入江陵介。女子100m背泳ぎの寺川綾に続く銅メダルの獲得となり、日本の競泳チームを引っ張る存在となっています。

 世界で最も美しいフォームを持つと言われる入江。しかし、18歳で代表入りし、挑んだ北京五輪では、得意とする背泳ぎ200mで5位と惨敗。入賞は評価すべきことですが、本人にとって北京での結果は、失敗として捉えられたようです。

 今回のロンドンでは、意識して100mを強化。自らの泳ぎをビデオで観ながら分析し、弱点を意識することで方策を練ったと、書籍『なぜあの時あきらめなかったのか』で明かしています。

 「僕はどちらかというとスロースターターで、前半にリードを許し、そのまま逃げ切られることが多かった。だから、前半でどれだけ離されないかが大きな課題だったのです」

 しかし、最初から飛ばしすぎるのは禁物。前半で力を出し切ってしまうと、後半に乳酸がたまってすぐに力尽きる、いわゆる"浮く"状態になってしまいます。それでは、ラスト15mの勝負どころで力を発揮することができません。

 「前半をどれだけラクに速く泳ぐか。これはスイマーにとって永遠のテーマです。レースでどうペース配分するかが勝負の鍵になってきますね」

 そのためには、焦らず自分の体に耳を傾け、最後まで冷静に泳ぎきるメンタリティーが不可欠となってきます。

 今回のレースでは、前半を6位で折り返した入江。25秒82のタイムは入江にとってややハイペースではありましたが、ライバルとの遅れを最小限におさえることに成功。後半で持ち味の追い上げをみせ、世界選手権同種目優勝者のカミーユ・ラクールとの競り合いを制し、銅メダルを手にすることができました。

 『速く泳ぐレース』と『勝負するレース』の違いを強烈に意識していたという入江。

 「オリンピックを見据えるなら、やっぱり『勝負するレース』にも力を入れていかなくてはいけないんですよ。北京の頃は、ただオリンピックに出場できればよいと思っていました。でも、北京オリンピックに出て、北島康介さんをはじめ世界のトップ選手たちを間近に見て感じたのは、出場するだけじゃダメだ、勝たなければ意味がない、ということでした。『速く泳ぐ』ことも大事です。でも、オリンピックの舞台では、メダリストとそれ以外の二者しかいない。だったら、やっぱり自分はメダリストになりたい」


 4年前と比べて、メンタリティーが成長した入江。得意の200mでもメダルが期待できそうです。



『なぜ私はあの時あきらめなかったのか (PHP新書)』
 著者:小松 成美
 出版社:PHP研究所
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