世界中の人々が待ちわびた、ロンドンオリンピックの開会式。映画監督ダニー・ボイルが演出を務めた式典は、期待を裏切らない壮観なものだった。しかしボイル監督や関係者は、その直後にこれだけの経済効果を予想しただろうか?

何か月もの情報戦が終わり、ついに実現した3時間半の式典のあと、世界のマスコミは賞賛を惜しまなかった。テレビで見た人も実際にロンドンを訪れた人も、英国流のユーモアと、活気に満ちた、イギリス音楽の祭典に魅了された。

しかもセレモニーの皮切りには、前代未聞の女王による特別ゲスト出演を実現。ジェームス・ボンド(ダニエル・クレイグ)とのバッキンガム宮殿での共演、ヘリコプターからの"女王"と"ボンド"のペア(トリック)ダイブなど、楽しく大胆な演出は、観客を釘付けにした。
そしてお祭り騒ぎが終わり、蓋を開けてみると、英通販サイト<Amazon.co.uk>でのダニー・ボイル監督作『トレインスポッティング』の週間売り上げが、なんと前週比で5,800%アップしていた。もう一つ良く知られるボイル監督のアカデミー賞受賞作『スラムドッグ$ミリオネア』の週間売り上げは、900%アップ。

「彼の代表作2つの売り上げが急増したことを見ると、ダニー・ボイルが、このオリンピックの最初の勝者だったと言えるでしょう。」と、<Amazon.co.uk>のジョン・バウムフリー氏(John Boumphrey)は語った。

「90年代カルト・ムービーの定番である『トレインスポッティング』と、(アカデミー)賞受賞作『スラムドッグ$ミリオネア』の販売数アップは、観客がロンドン五輪の(開会式)ショーにほれ込んだしるしですよ」

それでは他の開会式出演者・関係作品はどうだろうか。

ロンドン交響楽団が『炎のランナー/Chariots of Fire』のサントラを演奏している時に、お茶目にキーボードを演奏したMr.ビーンことローワン・アトキンソン。2本立てのDVDセット、『Mr Bean's Movie Box Set 』の売り上げは前週比で311%アップした。
(実はネットを制した、と言えるのはMr.ビーンで、彼が登場したときの世界中のツイートは、ジェームス・ボンドが登場したときよりも多かった!)

プログラムの中で場面が映し出され、突然売り上げが伸びた映画も数々。1968年製作の『チキ・チキ・バン・バン』は前週比で250%アップし、『炎のランナー』も138%アップした。

音楽関係はどうかと言うと、ビートルズの「Come Together」を熱演したアークティック・モンキーズは、そのカバー曲が今英国チャートを急上昇中。iTuneのシングルス・チャートで、14位まで駆け上がったそうだ。

アンダーワールドの歌「Caliban's Dream」を歌い上げた、北アイルランド出身のバンド、トゥー・ドア・シネマ・クラブのボーカリストであるアレックス・トリンブル も「勝者」の一人。式典から24時間後、iTuneのシングルス・チャートでこの曲は70位以下だったのが5位になった。

そして極めつけとも言える、開会式の音楽を一同に集めた、コンピレーションアルバムはどうか。「Isles of Wonder 」と名付けられたこのアルバムは発売後24時間以内に、1万枚以上の売り上げがあったという。イギリス、フランス、ベルギーとスペインでは現在ヒットチャート1位、アメリカではトップ5に入ったそうだ。<Amazon.co.uk>のダウンロード・チャートでは2位。

<Chicago Tribune>誌のKC・ジョンソン記者が"Musical heaven.(音楽天国だ〜)"とつぶやいた、視覚と音楽の祭典。その余韻は、しばらく世界中に残りそうだ。

【オリンピック開会式で演奏された音楽のプレイリストは、こちらの記事からYouTubeの再生リストで視聴することも出来ます。】

花火でしめくくられたオリンピック開会式